しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年12月26日(月)

全国鉄道網の破壊許されない

「上下分離」「基金設立」…

共産党、「提言」で新提案

写真

(写真)8月の豪雨で不通になった津軽線沿線の青森県今別町の阿部義治町長(右)に党提言を渡し懇談する高橋衆院議員(中央)と吉俣洋県議(左)=14日、青森県今別町

 採算性を盾に赤字ローカル線切り捨てが進められるもと、「全国の鉄道網をズタズタにするのは許されない」として、日本共産党は「全国の鉄道網を維持・活性化し、未来に引き継ぐために―日本共産党の提言」を発表しました(13日)。「JRの上下分離方式」や「公共交通基金」「災害復旧基金」設立など新たな提案を盛り込んでいます。

再生チーム発足

 党国会議員団は9月、「地域鉄道再生チーム」(責任者=高橋千鶴子衆院議員)を発足させました。赤字ローカル線や被災した路線を抱える全国の地方自治体を訪れ、首長はじめ関係者、地元住民との懇談を重ねてきました。提言はこうした活動を踏まえたものです。

 JR各社(東海を除く)が赤字路線を公表するなか、国土交通省の有識者検討会「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」は7月、利用者の少ない61路線100区間について、廃止などにむけた協議会を設置させる提言を発表しました。国交省はこの提言に基づき、来年の通常国会での法案提出を進めています。

議論が不可欠

 今年は鉄道発足150年、国鉄分割民営化35年にあたります。党提言は、「政府は、JRに移行した路線は維持するという分割民営化の制度設計が維持不能となり国民への約束が果たせなかったことを認めた」として、この35年を総括し、全国の鉄道網をどうするのか、国の責任など、国民的な議論と検討が不可欠だと説いています。

 緊急的な策として、(1)JR北海道、四国、九州は分離に経営上の無理があり国が路線維持のために必要な財政支援を行う(2)巨額な内部留保があり、黒字回復が見込まれるJR東日本、東海、西日本はすべての路線を維持させる(3)鉄道廃止の手続きを事前届け出制から許可制に戻し、容易に廃止させない―三つを提案しました。

 中長期的な策としては、(1)JRを完全民営から「国有民営」にする―国が線路や駅などの鉄道インフラを保有・管理し、運行はJRが行う上下分離方式(2)全国鉄道網を維持する財政的な基盤を確保する―「公共交通基金」を設立し、地方路線・バスなど地方交通への支援(3)鉄道の災害復旧制度をつくり速やかに復旧できるようにする―国が「災害復旧基金」を創設する―三つの柱を提示しました。

 会見で提言を発表した田村智子政策委員長は、JRの上下分離について、国の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設・保有を担い、運行するJRに貸し付ける整備新幹線の例を挙げ、「全国鉄道網の維持、活性化の方式としては十分活用できる」「上下分離方式は欧州では当たり前の形態だ」と強調しました。

 「公共交通基金」は財源にガソリン税はじめ自動車関連税、航空関連税の一部をあてるとともに、新幹線や大都市部での利益を地方に還流させます。「災害復旧基金」は豪雨・台風などで被災した地方ローカル線が復旧することなく廃線に追いやられない措置で、すべての鉄道事業者が経営規模・実態に応じて拠出し国が出資します。両基金ともJRだけでなく、地方民鉄なども対象です。


pageup