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2022年12月23日(金)

主張

「産後パパ育休」

働き方を正して新制度生かせ

 今年4月から改正育児休業法が段階的に施行され、10月からは「産後パパ育休」が始まりました。従来の育休とは別の新制度です。父親が、子どもが生まれてから8週間以内に最大4週間、2回まで分割して取れます。会社へ申し出る期限も、「取得の1カ月前まで」から「2週間前まで」に変わりました。誕生した時、退院した時、里帰りから戻った時など柔軟に取得できることが特徴です。

仕組みと実態に大きな差

 従来の育休は分割取得が原則できませんでしたが、今回から2回まで分割できるようになりました。開始時期も柔軟化され、父母が途中で育休を交代できます。労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で就業も可能となりました。

 国連児童基金(ユニセフ)の2021年の報告書は、日本の育休制度について「父親と母親に認められた期間がほぼ同じ長さである唯一の国」で▽父親に認められている期間が最も長い▽取得率は低いものの改善に向けた取り組みが進んでいる―と評価していました。育休制度では経済協力開発機構(OECD)と欧州連合(EU)の加盟国41カ国中、日本を1位としました。父親のための育休が、父母の育休を合わせた期間の3分の1以上を占めているのは、日本、アイスランド、韓国、ポルトガルの4カ国だけです。

 しかし、現実の日本の育休取得は、女性が85・1%に対し、男性はわずか13・97%です(21年度)。女性の9割以上は6カ月以上の取得ですが、男性は「5日未満」が25・0%、「1カ月未満」が6割以上です。厚生労働省は、男性の育休取得率を25年に30%にする目標を掲げますが、実現には働き方の抜本的な改善が必要です。

 民間企業の調査では、育休を取っていない男性の4割が「本当は取得したかった」と答えました。取らなかった理由として「職場で育休制度が整備されていない」「職場で周囲に迷惑をかけてしまう」「給料・手当が下がる」が多く挙げられました。管理職の側も、部下の育休取得に際しては「迅速な人員の補充」を求めています。

 ギリギリの人員で業務を回す働き方が障害になっていることは明らかです。人間らしい働き方と無縁の新自由主義的な雇用政策の大転換を図らなければなりません。

 出産後の女性は心身ともに不安定で疲弊することもしばしばです。08年から15年間の児童虐待件数の6割超は、保育園や幼稚園に通っていなかったとみられる家庭で起きました。そのうち約3割で「孤立」が要因と指摘されています。子育てを女性に押し付け、男性を、子育てに参加したくてもできないような過酷な働き方に追いやってきた政治の責任は重大です。

 日本社会に根深い性別役割分担意識をなくし、男性も主体的に育児ができるのが当たり前の社会にしていくことが重要です。

ジェンダー平等の社会へ

 日本共産党は、誰もが利用しやすい育休制度への改善と、育休中の所得保障の充実を求めてきました。男女の賃金格差の是正も、男性の育休取得を促進するうえで大きな力となります。

 仕事と家族のケアを両立でき、人間らしく働ける雇用のルールが確立したジェンダー平等社会をつくるため、力を合わせましょう。


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