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2022年12月21日(水)

主張

子ども予算後回し

「倍増」は絵に描いた餅なのか

 子どもに関連する予算増額をひたすら後景に追いやる岸田文雄政権の姿勢が浮き彫りになっています。岸田首相は子ども予算の「倍増」と言うものの、具体的な中身がみえません。軍事費については2023年度から5年間で総額43兆円と、かつてない規模の大幅増額を明確に打ち出したことと正反対です。軍拡財源を調達するため子育て世帯を含む国民全体に増税を求める方針も示しました。子ども予算を置き去りにして大軍拡に突き進む岸田政権の下では、暮らしは押しつぶされ、若い世代は未来に希望が持てません。政治の切り替えが急務となっています。

大軍拡最優先で置き去り

 敵基地攻撃能力保有をはじめ大軍拡の推進を明記した「安全保障3文書」が閣議決定された16日、岸田首相は社会保障についての政府の会合で、子ども予算の倍増は23年夏に決める「骨太の方針」で「当面の道筋を示す」と述べました。半年後まで、問題を先送りするという表明に他なりません。子どもと子育てをめぐる現状と向き合わず、打開策をとろうとしない首相の姿勢は極めて重大です。

 22年の日本の子どもの出生数は、統計開始後初めて80万人台を割り込むとされています。政府の想定を超えるスピードで少子化は加速しています。子どもを持つかどうかは、個人やカップルの自由な選択です。問題は、子どもを産み育てたいと願っても、実現できない現実が続いていることです。

 21年の政府の調査では、夫婦が理想とする平均子ども数は2・25人ですが、実際に予定する子どもの数はそれを下回ります。21年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)は1・30でした。理想の子ども数を実現できない理由の最多は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」です。過去20年、この理由が一貫してトップです。

 若者や子育て世代の切実な要求に応えず、必要な予算の手当てもせず、希望がもてない雇用・経済状況を強いてきた歴代自民党政権の責任が厳しく問われます。

 岸田首相は今年1月の国会で、子ども予算の「倍増」を表明しました。しかし、具体的な分野は、はっきりしません。どの予算を「倍増」するかも不明です。23年度発足の「こども家庭庁」の概算要求は、従来各省庁にまたがっていた予算を合計するなどしてほぼ22年度並みの4兆円台です。日本の子ども関連予算は対国内総生産(GDP)比でみると、欧州諸国とまだまだ開きがあります。この立ち遅れの打開こそ必要です。

 巨額な軍事費を捻出するために、大増税や、軍拡以外の予算が大幅に削減されることは必至です。子ども関連予算は、後回しどころか、カットされる危険すらあります。大軍拡を最優先する政治では、岸田政権が掲げる「こどもまんなか社会」の実現は不可能です。

広がる軍拡増税反対の声

 多くのメディアの世論調査では「軍拡増税反対」が多数となっています。共同通信の調査(17~18日実施)では30歳代以下の75・7%が「支持しない」と回答しました。国民の願いに逆らい、平和と憲法を壊す岸田政権の大軍拡をストップさせましょう。若者・子育て世代をはじめ全ての世代が安心して暮らせる政治をつくるために、いまこそ力を合わせましょう。


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