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2022年12月20日(火)

略奪文化財の返還決まる

英からナイジェリアへ

「ベニン・ブロンズ」116点

「返すべきだ」世界で認識広がる

 英ケンブリッジ大学の考古学・人類学博物館が、19世紀にベニン王国(現ナイジェリア南部)から英国軍が略奪した美術品「ベニン・ブロンズ」116点をナイジェリアに返還することを16日までに明らかにしました。

 欧州各国で、植民地由来の美術品を起源国に返還する動きが広がっています。英国のホーニマン美術館も先月、ベニン・ブロンズ72点の返還を発表しました。

 ケンブリッジ大学所有のベニン・ブロンズについては、今年1月ナイジェリア側が正式に返還を要請しました。これを受けて同大学は、英政府の「慈善委員会」に返還を申請しました。

 慈善委員会は、イングランドとウェールズの慈善団体を統括する英政府の機関。ケンブリッジ大学の申請に対し、ベニン・ブロンズを返還する「道徳的な義務がある」と指摘し、法的な所有権をナイジェリアの国立美術館・遺跡評議会(NCMM)に移管することを承認しました。

 ケンブリッジ大学は、以前からベニン・ブロンズの返還に前向きな姿勢でした。2017年、欧州の博物館関係者とナイジェリアの政府、展示企画員で構成する「ベニン対話グループ」会議を主催し、ベニン・ブロンズの返還に支持を表明していました。

 19年には「植民地時代の侵略や戦争の影響で」取得された文化財の返還に関するケンブリッジ大学としての行動計画を策定。その後、同大学考古学・人類学博物館の展示企画員がナイジェリアを訪れて協議を進め、一部を返還しました。

 同博物館のニコラス・トマス館長は「違法に入手した文化財は元の国に返すべきだとの認識が、世界の博物館で広まっている」と語りました。(桑野白馬)


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