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2022年12月19日(月)

マイナンバー保険証新たな懸念

なりすまし・不正取得の危険性

 岸田政権は2024年秋の実施を狙っている健康保険証の廃止・マイナンバーカードとの一体化に向け、河野太郎デジタル相ら関係3大臣による検討会を進めています。任意のカード取得を事実上強制するもので、国民の不満や批判をかわそうと取得緩和などを講じますが、新たな懸念を引き起こしています。(松田大地)


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(写真)厚労省作成の広報素材

既に問題も

 カードをめぐっては、すでに保険証代わりに使えるシステム(オンライン資格確認・マイナ受付)が昨年10月から本格運用されています。しかし、情報漏えいへの不安などを背景に、カードの申請率は今年11月末時点で国民の6割、システムの利用登録は4日時点で3割ほどです。そこに河野デジタル相が従来の保険証の廃止方針を表明し、カードを持たない人は保険診療を受けられなくなるのではとの不安が広がりました。

 デジタル相は加藤勝信厚生労働相、松本剛明総務相とともに一体化を狙った検討会の初会合を開催(6日)。検討会のもとに医療関係者ら専門家による作業部会を立ち上げ、議論を進めています。

 検討事項として、手続きが難しい高齢者らを対象に、カード申請の補助や代理受け取りの「柔軟化」をあげています。成り済ましによる不正取得につながる危険性があります。

 また、▽交付に1~2カ月かかる期間を、新生児やカード紛失者、海外からの転入者などは10日間ほどに短縮▽市町村による各地域への「出張申請受付」を拡大―なども具体化します。成長が早い乳幼児については、カードの顔写真を不要とする法改定を準備します。

廃止撤回を

 保険証の廃止をめぐっては、紛失など「例外的な事情」でカードがない人の保険加入の確認方法や、発行済みの保険証の取り扱いなどがテーマです。デジタル庁は「今までと変わりなく保険診療を受けられる」と言います。しかし、カードを持たない人について、仮に有効期間が短い短期証のようなものに切り替えたり、従来の保険証の発行を有料化したりすれば、不利益を強いることになります。

 医療機関は来年3月末までのシステム導入を原則義務化されたため、新設備に対応できない高齢医師らに廃業の前倒しを検討せざるをえない事態が起きています。導入済みの医療機関では機械トラブルが多発しています。

 全国保険医団体連合会(保団連)は、保険証の廃止もシステム導入の義務化も撤回し、保険証で安心して受診できる国民皆保険制度を守るよう求めています。


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