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2022年12月18日(日)

主張

与党税制大綱

暮らし壊す軍拡大増税やめよ

 自民、公明両党が16日、2023年度税制改正大綱を決定しました。同日、閣議決定された「安全保障3文書」が打ち出した大軍拡を実行するため、27年度までに所得税、法人税、たばこ税の増税で1兆円強の財源を確保すると明記しました。コロナ禍と物価高騰で苦しむ国民に、際限のない負担増を押し付ける岸田文雄政権の危険な姿がいっそう鮮明です。

不公平税制には手つけず

 所得税に税率1%を上乗せする付加税を創設し、軍事費の財源とします。東日本大震災の復興費に充てている復興特別所得税の税率を現行2・1%から1%下げます。同税の税収の半分が軍事費に回ることになります。現行37年までの課税期間を、期限を示さず延長します。所得税の納税者すべてを対象とした庶民増税です。

 岸田首相は16日の記者会見で「復興財源は総額まったく変わらない」「負担感を払しょくできるよう努力する」と述べましたが、増税と復興財源の流用は、ごまかしようがありません。

 増税以外の財源確保策としては「安保3文書」の一つ、「防衛力整備計画」が決算剰余金の活用や「防衛力強化資金」の創設を挙げました。強化資金の財源には医療関係の積立金やコロナ対策費の未使用分など医療、暮らしの予算が流用されようとしています。

 いずれも一時的な財源にしかならず、増税が1兆円程度にとどまる保証はありません。国債の増発による軍事費調達は将来にわたって国民の負担を増やします。

 「安保3文書」は今後10年間の軍拡推進を宣言しています。財源探しが社会保障費の削減や、消費税増税に行き着くのは必至です。

 増税の実施について大綱は「24年以降の適切な時期」として時期を示しませんでした。来年春の統一地方選挙を前にして、自民党内で世論を恐れる声が上がっていました。手段を選ばない軍拡財源の調達は、国民の厳しい批判を浴びています。増税を阻むうえでも、大軍拡反対の運動を広げることが重要です。

 不公平税制の是正は置き去りのままです。大綱は、高額所得者の「負担の適正化」を盛り込みましたが、所得税を追加されるのは年間所得が30億円を超す200~300人の超富裕層だけです。年間所得が1億円を超すと所得税負担率が下がる「1億円の壁」の打破にはつながりません。富裕層が優遇されている金融所得課税の是正が必要です。

 小規模事業者に消費税の負担を押し付けるインボイス(適格請求書)制度は、23年10月の導入を変えません。

今こそ税の再配分機能を

 大綱は、日本の賃金が「主要先進国を大きく下回っている」と指摘し「500兆円に及ぶ企業の内部留保」があることを認めています。しかし、安倍晋三政権の法人税減税で膨らんだ大企業の内部留保の活用には触れません。法人税を軍拡財源に使うのではなく、増えすぎた内部留保に課税し、賃上げに振り向けることこそ喫緊の課題です。

 国民の生活と中小企業の営業が危機的状態にある今こそ、税制に所得の再分配という本来の機能を発揮させる改革が求められています。大軍拡ではなく、暮らしと営業を守れと声を広げましょう。


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