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2022年12月11日(日)

米軍指揮下で敵基地攻撃も

安保3文書の骨子判明

トマホーク念頭「着実に導入」

 政府が年末に改定する「国家安全保障戦略」など安保3文書の骨子案が10日までに明らかになりました。骨子案は、歴代政権が違憲と判断してきた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記。米国がイラクやアフガニスタンでの先制攻撃戦争などで使用した巡航ミサイル・トマホークの購入を念頭に、「外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入」を盛り込みました。


安保3文書の柱
国家安全保障戦略 最上位の戦略文書で2013年に初めて策定。中国の軍事的台頭などを踏まえ改定へ
国家防衛戦略 「防衛」目標の設定と方法、手段を明記。期間はおおむね10年。重視する能力として、以下の7項目を明記
 (1)スタンド・オフ防衛
 (2)統合防空ミサイル防衛
 (3)無人アセット
 (4)領域横断作戦
 (5)指揮統制
 (6)機動展開・国民保護
 (7)強靱(きょうじん)性・持続性
「反撃能力」を明記
防衛力
整備計画
10年後の体制を念頭に5年間の経費総額、装備品の数量など記載。23~27年度で総額43兆円

 骨子案は、これまで掲げていた「総合ミサイル防空」に代えて、敵基地攻撃と「ミサイル防衛」を一体化した「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)の導入を明記。IAMDは米軍が開発を進め、ロシアや中国への対処を念頭に、同盟国に参加を促しています。

 自民、公明両党が保有で合意した敵基地攻撃能力は、第2次安倍政権が強行した新たな「武力行使の3要件」に基づいて行使されるため、海外での米軍の武力行使に参加する「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)も排除していません。自衛隊が米軍指揮下で、しかも米国製ミサイルを用いて敵基地攻撃を行う可能性があります。

 安保3文書は、▽「国家安全保障戦略」(NSS)▽「国家防衛戦略」(NDS)▽「防衛力整備計画」―からなります。NDSは現在の「防衛計画の大綱」を改称したもの。米国防総省の戦略文書と同じ名称にすることで、日米の戦略的な一体化を促進するのが狙い。「スタンド・オフ防衛能力」など、重視する7項目が記されています。「防衛力整備計画」は、現在の中期防衛力整備計画に代わるもので、おおむね5年間の軍事力整備計画を記載。2023年度から5年間で総額43兆円の大軍拡が明記されており、「スタンド・オフ・ミサイル」=長距離巡航ミサイルの導入経費は約5兆円としています。


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