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2022年11月29日(火)

障害者施策の推進要望

自立支援法違憲訴訟団 国と定期協議

“国連勧告は見直しのチャンス”

 障害者自立支援法違憲訴訟団と厚生労働省は28日、第13回定期協議をオンラインで行い、同訴訟団は国連障害者権利委員会が政府に出した総括所見(勧告)や基本合意などに基づき同法(現・障害者総合支援法)の介護保険優先原則の廃止や就労時のヘルパー利用を国の制度とすることなどを要望しました。


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(写真)オンラインで実施した障害者自立支援法違憲訴訟団と厚生労働省との第13回定期協議=28日

 広島県廿日市市の元原告、秋保喜美子さんは訴訟団を代表してあいさつし、国連が日本政府の障害者施策に対し厳しい勧告を出したと指摘。岸田政権が軍事費増強の動きを示しているとして、「平和で一人ひとりの人権が守られる社会でなければ、障害福祉はより厳しくなるのではないか」と訴えました。

 障害者が65歳になると障害福祉サービス利用から介護保険サービスに移行させられる、同法の優先原則。福岡県田川市の元原告、山下裕幸さんはそれまで通っていた作業所から65歳になり、高齢者の通所介護に移り、なじめずに苦しい思いをしている人がいる実態を語り、優先原則廃止を求めました。

 訴訟団が同日、厚生労働省に提出した要請書では、65歳以上の障害者に障害福祉サービス利用に制限を設ける自治体があるとして、実態調査の実施と自治体への指導を求めました。これに対し同省は、運用状況を調査し、留意すべき具体例を示すなどと回答したといいます。

 東京都板橋区の元原告、家平悟さんは障害福祉制度の実態について「制約や制限」が多く、「障害者の生活が障害のない人と同等だとはとても言いがたい」と指摘。就労時のヘルパー利用を全国一律の制度にするよう求めるのと同時に、今国会で審議中の総合支援法改定法案は基本合意をほとんど無視していると批判しました。

 訴訟団事務局長の藤岡毅弁護士は、国連が政府に出した勧告が「就労時支援のあり方の抜本的な見直しができるチャンスだ」と強調し、障害者施策の推進を要望しました。

 障害者自立支援法違憲訴訟団と国の定期協議 同訴訟は、生きるために必要な支援を得ることに原則1割の自己負担が発生する障害者自立支援法(2006年4月施行)は違憲だとして全国の障害者71人が提訴したもの。同訴訟団と国は10年1月、同法廃止と新法制定や定期協議の実施などを盛り込んだ基本合意文書を締結し、和解しました。この合意文書に盛り込まれた内容の適正な履行状況を確認するため、訴訟団と国(厚生労働省)は定期協議を実施。


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