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2022年11月29日(火)

きょうの潮流

 酸味の強いリンゴの「紅玉」を使ってつくったアップルパイがおいしい。リンゴに砂糖を加えて炒め、冷凍のパイ生地で包み、電気代を気にしながらオーブンで数十分焼く。思ったより簡単にできました▼今は「ふじ」のような蜜の入ったリンゴが主流ですが、紅玉の酸味は、菓子づくりによく合います。子どもの頃は、紅玉や国光しか知りませんでした。近ごろ店先で見かけることが少なくなりました▼なぜなのか。青森の生んだ共産党の元代議士・津川武一さんは『りんごに思う』で書いていました。バナナの自由化で1968年産の国光と紅玉が売れず、大量に捨てられ、それから国と県の指導方針に沿って農家が見切りをつけ、ふじなどに品種更新した▼紅玉が絶滅に近い状態に津川さんは当時、危機感を覚え、料理や加工用など消費・販路拡大のいろんな提案をしていました。今ではリンゴを使った土産品も多い。弘前市では現在、市内でアップルパイを売る店が50を超え、ガイドマップも▼コロナ禍のもと、自宅でスイーツをつくる人が増え、生食用に酸味のあるリンゴを好む人もいます。宮城では大震災の年に、酸味の強いオリジナル品種を開発していたと最近知りました▼津川さんは、戦争中の母親の体験を記しています。リンゴは戦争に役立たないので、ジャガイモに植えかえろと命令。軍人がリンゴの何本かを切り倒し、母はその木に線香をたきお経をそらんじてあげた。終戦の年に大流行した「リンゴの唄」の4年前のことです。


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