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2022年11月28日(月)

きょうの潮流

 ロシア語で黒い土を意味するチェルノーゼム。養分が豊富で作物の栽培にとても適しています。世界の小麦の多くはここからとられ、農業大国ウクライナの土壌も6割ほどが黒土です▼土の皇帝とも呼ばれたチェルノーゼムは他国の垂涎(すいぜん)の的になってきました。第2次大戦で東欧に侵攻したヒトラーのドイツが、ウクライナの肥沃(ひよく)な土を貨車で運び出そうとしたという逸話も残るほど▼90年前、その豊かな大地が慟哭(どうこく)の大地と化しました。飢餓がひろがり、人びとは木の皮や葉、ネズミや人の肉まで食べたといわれます。全員が死に絶えた村、子どもを含めた死体が延々と横たわっていたとの証言もあります▼ウクライナでは数百万人が亡くなったとされるこの時の大飢饉(ききん)をホロドモール「飢えによる虐殺」と呼んでいます。当時、農家を強制的に集団農場に組み入れ、徹底して食糧を徴発したソ連スターリン政権が人為的に引き起こしたジェノサイド(集団虐殺)だったとして▼いままたロシアによる侵略をホロドモールと重ね合わせています。ミサイルが大地に降ってくる日常。インフラ施設への攻撃は冬の寒さが増す生活をさらに困難にさせています。駐日大使は「モスクワの集団がウクライナを消そうとするのは初めてではない」と▼ウクライナでは毎年11月の第4土曜日をホロドモールの犠牲者を追悼する日としています。今年はロシアに対する抗戦の士気がいっそう高まるなかで迎えました。侵攻から9カ月。連帯する国際世論とともに。


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