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2022年11月16日(水)

「一つの中国」変更なし

米中首脳会談 台湾めぐり確認

「新冷戦にならないと信じる」

 【北京=小林拓也】14日にインドネシア・バリ島で行われたバイデン米大統領と中国の習近平国家主席の会談では、緊張が高まる台湾情勢、人権問題、貿易や科学技術などをめぐる米中対立の激化に対し、両首脳がどう対応するのかが注目されました。また両首脳はロシアのウクライナ侵略、北朝鮮の核・ミサイル問題、気候変動問題なども話し合いました。

ウクライナ・北朝鮮問題など協議

 会談の冒頭、バイデン氏は「米中は、競争が衝突に発展することを防ぎ、相互協力が必要な世界的な課題に共に取り組む方策を見いだす責任がある」と呼び掛けました。

 習氏は「両大国の指導者として、かじ取りの役割を果たし、両国関係の正確な発展方向を探り、中米関係を向上させなければならない」と強調。「両国関係を健全で安定的な発展の軌道に戻していきたい」と訴えました。

 中国外務省によると、習氏は会談で「米中はどちらかが勝ち、負けるという関係であってはならない。広い地球で、両国は各自に発展し、共に繁栄することができる」と指摘。「中国は現在の国際秩序を変えるつもりはなく、米国に挑戦するつもりもない」と述べました。

 バイデン氏は会談後の記者会見で、米中は「新冷戦になることはないと信じている」と語りました。

 8月のペロシ米下院議長の台湾訪問で緊張が高まっている台湾問題をめぐり、習氏は「台湾問題の解決は中国人自身が行うことであり、中国の内政だ」と主張。「台湾を中国から分裂させようと考える者は誰であれ、中国の民族的大義に背くことになり、中国人民は必ず敵愾心(てきがいしん)を燃やし、決して許さない」と警告しました。バイデン氏に対し、「一つの中国」原則の堅持や「台湾独立反対」などの「約束を確実に実行すべきだ」と求めました。

 バイデン氏は、歴代米政権が維持してきた「一つの中国」政策に変更はないと説明。一方で、「中台どちらかによる一方的な現状変更は反対だ」と伝えました。

 両首脳はロシアのウクライナ侵略に関し、ウクライナでの核兵器の使用と威嚇に反対を表明しました。

 習氏は現在のウクライナ情勢に「大きな懸念」を表明。「ロシアとウクライナの和平交渉再開を支持し期待している」とし、「米国、北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)が、ロシアと全面的な対話を進めるよう望む」と述べました。

 弾道ミサイル発射実験を続ける北朝鮮に対し、バイデン氏は懸念を表明。習氏は、北朝鮮の合理的な懸念などもバランスよく解決することを堅持すべきだと主張しました。

 バイデン氏は、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港などでの人権問題に懸念を伝えました。習氏は「米国には米国の、中国には中国の民主がある」と主張。バイデン氏が唱える「民主対専制」について、「現在の世界の特徴ではなく、時代の発展の潮流と符合しない」と批判しました。

 米中首脳の直接対話は、習氏がトランプ前大統領と会談した2019年6月以来。昨年1月のバイデン氏の大統領就任以来、両首脳は電話会談など5回の対話を行っていました。


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