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2022年11月3日(木)

主張

文化の日

苦境続く芸術活動への支援を

 きょうは「文化の日」です。この秋は新型コロナ対策の入国制限が大幅に緩和されたこともあり、外国のミュージシャンが次々に来日したり、海外の演劇集団が公演したりしています。各地のコンサート会場や劇場にも3年ぶりに多くの人が来場しています。

 しかし、日本の芸術・文化の足元に目を向けると、いまだに収束しない新型コロナ禍の影響で深刻な苦境が続いています。この夏も、新型コロナ「第7波」で、実演芸術、特に演劇分野では出演者やスタッフに感染者が広がり、公演中止が相次ぎました。

新型コロナの深刻な影響

 日本芸能実演家団体協議会が昨年10~11月に実施した調査によると、新型コロナ禍の当初より事業収入が増えたとはいえ、依然厳しい状況が続いています。コロナ禍の影響を緩和する給付金を求める芸術団体は68・4%に達しています。芸術家個人では「活動の継続に必要な手当」は何かという問いに、「自然災害等による仕事の減少やキャンセルを補償する手当」が72・8%になっています。

 芸術家やスタッフはフリーランスが多い分野です。さまざまな新型コロナ対応の給付金・支援金は年内で終了し、コロナ当初に受けた融資の返済が始まっています。そこに物価高騰の追い打ちです。来年10月からインボイス制度が導入されれば、創造活動から離れていく芸術家・スタッフを大量に生むことになりかねません。

 演劇関係の団体でつくる「演劇緊急支援プロジェクト」が10月、「舞台芸術に携わる全ての人の実態調査アンケート」の結果を発表しました。「第7波」の影響について「心が折れる」「今年が一番きつい」「廃業か」など、金銭的にも精神的にも追い詰められている状況が浮き彫りになっています。

 新型コロナ対策として芸術団体を支援する文化庁の事業「AFF2」は当初、緊急事態宣言などが出された場合の公演中止は支援する一方、感染者が出て中止する場合、年内に再演すればキャンセル料を出すというものでした。これに対し「新たな会場を借り、出演者やスタッフのスケジュールを押さえて年内に上演することは不可能だ」と多くの関係者が異議を唱えました。「AFF2」事務局は10月、中止・延期した公演についても経費やキャンセル料を出すと発表しました。声を上げれば政治が動くことを示しています。

 芸術家と芸術団体が安定して活動を続けられるような支援が求められます。文化庁の来年度予算の概算要求には、新型コロナの流行に備えた芸術家や芸術団体を支援する事業がありません。年末に向けて「第8波」が懸念される中、万が一公演の中止や延期をせざるを得ない時でも十分なキャンセル補償が必要です。金銭的損害に対する新たな給付金事業や感染対策の支援など、補正予算を組み、対策をとることが求められます。

支える場と担い手守れ

 観客が戻りつつあるとはいえ、新型コロナ流行前の状況にはほど遠いのが実情です。創造活動や教育活動、資金繰りに必死の努力をしている芸術家・芸術団体を路頭に迷わせるわけにはいきません。

 日本共産党は、日本の文化を支える場と担い手を守るために、芸術・文化関係者や愛好者のみなさんと力を合わせていく決意です。


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