しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年11月2日(水)

「心理的負荷で自殺」労災

長時間労働なくとも認定

長野・飯田

写真

(写真)労災認定を受け、思いを語る母恵美子さん(手前から2人目)と父利幸さん(同3人目)ら=10月31日、長野県飯田市

 長野県飯田市の精密機器メーカー「多摩川精機」の社員で2020年4月に自殺した吉田午郎さん=当時(34)=について、飯田労働基準監督署は、長時間労働はなかったものの仕事上の負担増が重なり精神障害を発症したとして労災と認定しました。遺族が10月31日に飯田市で記者会見し発表しました。決定は27日付。

 母の恵美子さん(66)=松本市=は「なんとか早く午郎を助けたい一心でやってきた。仕事が原因だと認めてもらい安心した。会社側は真剣に受けとめてほしい」と求めました。

 遺族が労災申請したのは21年4月。午郎さんの死後見つかった開発製品の技術的、科学的原理を事細かに記した小さなノートを手がかりに、業務の過重さを1年以上かけて明らかにしました。午郎さんは新幹線やリニア中央新幹線に使われる複数の製品開発を担当。設計や試作の過程でのトラブルがあり他方、会社から残休日消化を迫られる中、納期遅延が続いたこと、専門外の分野を含む製品開発に社内でサポートを得られる態勢がなかったといいます。

 弁護団の松村文夫弁護士(78)によると、労基署は会社の経営に影響する重大なミス、仕事量や負担の増加、上司の叱責などが重なり総合的にみて業務による心理的負荷を「強」と認定。精神疾患の発症時期を20年3月ごろと判断したといいます。

 松村氏は「画期的な判断。労働時間偏重の傾向にある労災認定の中、残業時間が少なくともあきらめず、労災認定請求してほしい」と語りました。

 遺族と支援者は5度にわたり署名を提出。10月15日に報告集会を行い、31日までに1万8489人に上りました。


pageup