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2022年11月2日(水)

主張

政府の物価高対策

家計に直接届く支援こそ有効

 岸田文雄政権は10月28日、物価高に対応する総合経済対策を決めました。事業規模は71・6兆円、財政支出は39兆円です。大手メディアの世論調査では約7割が「期待できない」「評価しない」と回答しました。31年ぶりの物価高騰から暮らしを守る内容ではないことを見抜かれています。賃上げ支援や消費税減税など、暮らしと営業の現場に直接届く支援こそ最も効果をあげる対策です。

消費税減税と賃上げ急務

 総合経済対策は、電力・ガス料金の負担軽減やガソリン価格の抑制継続を重点政策としています。幅広い品目の物・サービスが値上がりしているときに個別品目に一時的な対策を講じても効果は限られています。

 消費税減税は物価全体を引き下げ、家計を直接支援します。税率を安倍晋三政権による増税前の5%に引き下げることが急務です。

 岸田政権は消費税減税を拒み、検討すらしません。約100の国・地域が消費税、付加価値税を軽減しているというのに、思考停止というしかありません。

 物価上昇を上回る賃金引き上げは切実な要求です。総合経済対策は「構造的な賃上げ」と銘打ちましたが、具体策がありません。

 賃上げには労働者の7割が働く中小企業への支援が不可欠です。政府が並べたのは「事業再構築補助金」など、すでに実施して賃上げに結びつかなかった施策です。この補助金は中小企業の業態転換や事業再編を促すものです。コロナ危機で過剰債務を抱えた企業を支える制度ではありません。社会保険料の負担軽減など抜本的な対策が求められます。

 日本共産党が提起している内部留保課税を真剣に検討すべきです。安倍政権下の法人税減税で大幅に増えた大企業の内部留保に年2%、5年間課税し、そこで生まれる10兆円の財源で中小企業を支援し、最低賃金を全国で時給1500円以上に引き上げる提案です。

 総合経済対策には、原発の再稼働・次世代炉の開発、マイナンバーカードと健康保険証の一体化まで入っています。国民の多くが求めていないことを物価対策に乗じて進めようとしています。「自衛隊の安定的な運用態勢の確保」「米軍再編の着実な実施」を盛り込んで軍事力増強を図ろうとしていることも重大です。

 総合経済対策は「円安をいかした『稼ぐ力』」を掲げています。外国人観光客や輸出を増やすといっても、物価高を抑えなければ中小企業の「稼ぐ力」は衰えるばかりです。輸入物価を急激に押し上げている、行き過ぎた円安を是正すべきです。

民主主義壊す巨額予備費

 岸田政権は経済対策の金額を膨らませるために予備費4・7兆円を積み増します。安倍政権以来、予備費が膨らみ、巨額な規模が常態化しています。

 憲法は、国費の支出には国会の議決が必要と定めています。あらかじめ使い道を定めず、閣議決定で支出できる予備費は「予見し難い予算の不足」(憲法第87条)にあてる例外措置です。

 国民を苦しめている物価高にどのような対策をとるのか、政府が責任をもって提案をまとめ、国会で審議しなければなりません。予備費の乱用は、財政民主主義を踏みにじる行為です。


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