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2022年10月24日(月)

習体制 異例の3期目

1中全会 権力集中さらに

 【北京=小林拓也】中国共産党は23日、前日閉会した第20回党大会で選出された中央委員会の第1回全体会議(1中全会)を北京で開き、党トップの総書記に習近平国家主席(69)を再任しました。習総書記は2期10年の慣例を破り、異例の3期目続投。2018年の憲法改定で国家主席の任期制限が撤廃されており、来年春の全国人民代表大会(全人代)で3期目の国家主席に再任される見込みです。


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(写真)23日、北京の人民大会堂で、内外の記者にあいさつする習近平総書記(左から4人目)ら中国共産党の最高指導部メンバー(小林拓也撮影)

 1中全会で決まった党最高指導部である政治局常務委員会はこれまでと同じ7人体制。習氏に加え、李強・上海市党委書記(63、新)、趙楽際氏(65、再)、王滬寧(おう・こねい)氏(67、再)、蔡奇(さい・き)北京市党委書記(66、新)、丁薛祥(てい・せつしょう)党中央弁公庁主任(60、新)、李希・広東省党委書記(66、新)が選出されました。反腐敗闘争を主導する党中央規律検査委員会書記には李希氏が就任しました。

 李克強首相の後任には李強氏が就く見込み。最高指導部は習氏と関係が深い人物で占められ、習氏への権力の集中が人事にも反映されました。次世代のリーダー候補も指導部入りせず、5年後も習氏が引き続きトップを続ける可能性もあります。

 1中全会後に新常務委員が内外記者団に姿を見せ、あいさつした習氏は「わき目もふらずに努力し、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現に奮闘しよう」と呼びかけました。

 1中全会は、指導部となる政治局員24人も選出しました。女性は1人も選ばれず、全員が男性。新任は13人で、王毅(おう・き)国務委員兼外相(69)も選ばれました。退任した楊潔篪(よう・けつち)氏(72)に代わり、外交部門のトップを担うとみられます。

 共産主義青年団のトップなどを歴任し、李克強氏と関係が深い胡春華副首相(59)は政治局員から外れました。

 党中央軍事委員会主席には引き続き習氏が就任。副主席には張又侠(ちょう・ようきょう)氏(72)が再任、何衛東氏(65)が新任されました。何氏は台湾方面を担当する東部戦区の前司令官です。

最高指導部 習氏と関係深く

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)が23日に再任され、異例の3期目に入りました。

 習指導部がこの10年で進めてきたのが習氏への権力の集中です。新たな最高指導部メンバーは習氏と関係が深い人物で固められました。

 22日に閉会した中国共産党大会で採択された改定党規約には、「習氏の核心の地位」と「習思想の指導的地位」の「二つの確立」が盛り込まれ、習氏の地位はさらに突出したものになりました。党大会では、党高官らが習氏を「人民の領袖(りょうしゅう)」などとたたえ、個人崇拝の懸念も出ています。

 また、「党がすべてを指導する」とのスローガンのもと、社会の管理が強まり、言論や社会運動が弾圧されました。知識人は口を閉ざし、社会から異論が消えました。

 新疆ウイグル自治区や香港などで行われた当局による人権弾圧は国際的な批判を浴びました。

 習指導部は「中華民族の偉大な復興」や「強国」などを唱え、「この10年の非凡な成果」を大々的に宣伝してきました。国民の間で極端なナショナリズムが高まり、中国政府の強硬な外交姿勢を後押し。周辺国を中心に国際関係が悪化し、台湾をめぐっては米国との軍事衝突の危険性が高まっています。

 一方、社会的管理や抑圧に中国国民は息苦しさを感じ、厳しい新型コロナウイルス対策には不満の声が噴出。党大会直前の13日には北京の高架道路上に習氏を批判する横断幕が掲げられ、庶民の不満を顕在化させました。

 習氏は党大会での報告で、「国家の安全と社会の安定」を強調。報告は「党の指導を国家事業の各分野、各段階で徹底する」と党の全面的指導の強化を盛り込みました。党による社会管理は引き続き強まりそうです。

 また、「中国式の現代化」を掲げ、西側諸国とは違う発展の道を新たな選択肢として世界に示すと宣言。中国の国際的影響力をさらに強める意向を示しました。ただ、欧米に対する強い批判は避けました。

 今後の国際社会は、極限まで権力を集中させた習指導部と向き合うことになります。人権問題や台湾への軍事的威嚇などに厳しい目を向けながら、冷静に対応していく必要があります。

 (北京=小林拓也)


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