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2022年10月24日(月)

主張

キューバ危機60年

「核抑止力」との決別を教訓に

 世界が核戦争の瀬戸際に立たされた1962年10月のキューバ危機から60年です。ウクライナへの侵略を続けるロシアのプーチン政権による度重なる威嚇など核兵器使用の危険が高まる今日、核戦争寸前までに至った深刻な事態から教訓を学ぶことが求められます。

一触即発の危機を招いた

 発端は、ソ連が米本土を射程に入れる核ミサイルをキューバに配備したことです。米国のキューバ侵攻を「抑止」するのが狙いだったと言われます。これに対し、ケネディ米大統領は10月22日、キューバを海上封鎖し、攻撃があればソ連に報復すると表明しました。対ソ全面戦争を想定した「準戦時体制」が発令され、核弾道ミサイルは発射態勢に入りました。

 一方、ソ連も大陸間弾道弾の発射準備を進め、キューバに派遣されたソ連軍司令官には核ミサイル発射の権限が与えられました。マクナマラ元米国防長官が「最後には“核の破滅”にまで発展することは確かだった」と述べたように、多くの人々が米ソ核戦争、第3次世界大戦を覚悟しました。しかし、米国がキューバに侵攻しないことを約束し、ソ連が核ミサイル撤去を表明(10月28日)して間一髪のところで戦争は回避されました。それはまさに僥倖(ぎょうこう)としか言いようがないものでした。

 「核抑止力」が両国に戦争を思いとどまらせたと見る向きもあります。しかし、問題の核心は「核抑止の破綻」です。ケネディ大統領と会談(10月18日)したソ連のグロムイコ外相は、本国への報告で「米国はキューバ侵攻を準備しないと考えてよい。米国政府はキューバ支援のソ連の行動の勇敢さにびっくりしてしまっている」と、「抑止」の効果を誇っていました(ドブルイニン元駐米ソ連大使の手記)。しかし、その判断とは逆に、米国は戦争態勢へと突き進んだのです。「核抑止力」の信奉は、核破局につながる危険な思い込みでしかないことを示しています。

 核戦争には破滅的結末しかありません。被爆者が訴えるように、核兵器は非人道的な「絶対悪の兵器」です。60年前と違うのは、この声が国際政治の大勢となり、核兵器禁止条約(署名91カ国、批准68カ国)が生まれるなど、核兵器廃絶の流れが大きく前進していることです。アメリカや北大西洋条約機構(NATO)も、ロシアの核威嚇に対し核兵器で報復するとは公然と言えなくなっています。

 核使用の脅威を根絶するには、全ての核兵器を廃絶する以外にありません。いまこそ核兵器の使用も威嚇も許さない世論と国際的結束をつくり、核兵器廃絶へと前進しなければなりません。

禁止条約への参加こそ

 キューバ危機で日本も対ソ核戦争の最前線に立たされました。当時、沖縄には米国の核弾頭が多数配備され、核巡航ミサイルがソ連などに向けて即座に発射できる態勢にありました。核戦争になれば真っ先に標的となったはずです。現在もアメリカの判断次第で、核兵器を持ち込める「核密約」が維持されています。密約を廃棄し、「非核三原則」を厳格に実施することが、日本と東アジアを核破局から救う道です。唯一の戦争被爆国・日本は一刻も早くアメリカの「核の傘」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加すべきです。


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