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2022年10月19日(水)

解説

安保3文書改定

憲法との整合性問われる

 18日に始まった「安保3文書」改定に関する与党協議は、「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有とその発動要件、大軍拡の財源などが焦点です。

 政府・自民党は「敵基地攻撃」をめぐり、「指揮統制機能」を対象に含む考えを示しています。同機能は日本でいえば総理官邸や防衛省本省などにあたります。また、日本への攻撃がなくても、安保法制に基づく「存立危機事態」の要件を満たせば、米軍などへの「攻撃着手」で武力攻撃は可能としています。これは相手国から見れば先制攻撃となり、全面戦争につながるものです。

 歴代政権は敵基地攻撃能力の保有について「平生から他国を攻撃する、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨ではない」(1959年、伊能繁次郎防衛庁長官)とする見解を維持しています。仮に「反撃能力」と称しても、先制攻撃につながる運用に踏み込めば、憲法との整合性が問われることは必至です。

 軍拡をめぐっても歴代政権は「軍事大国にならない」ことを国防の基本方針にし、軍事費の目安を国内総生産(GDP)比1%としてきました。しかし、自民党は昨年の総選挙で「GDP比2%への増額」を公約に盛り込み、ロシアによるウクライナ侵略を「追い風」に大軍拡へ突き進もうとしています。

 その際、財源をめぐっては「つなぎ国債」発行や法人税増税などが浮上。しかし、GDP比2%を実行するには、現行から年間約5兆円の大軍拡が必要で、最終的には消費税などの大増税や社会保障の削減につながることは避けられません。(斎藤和紀)


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