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2022年10月12日(水)

インボイスでの自治体入札

免税業者の排除ダメ

小池議員事務所の指摘に総務省

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(写真)「弱い者いじめのインボイス反対」とコールしながら行進する参加者=10月1日、東京都中央区

 政府が来年10月からねらうインボイス制度の導入で、消費税の免税業者は取り引きから排除されるおそれがあります。日本共産党の小池晃参院議員事務所は、地方自治体の公共事業などからも免税業者が排除される危険があることを総務省に指摘。総務省は7日、免税業者を入札から排除するのは「適当ではない」とする通知を地方自治体に送付しました。

 地方自治体の特別会計や公営企業は年間売り上げ1000万円以上であれば消費税を納めています。インボイス制度導入後は免税業者からの仕入れに含まれる消費税額を差し引くことができなくなり、自治体の消費税納税額が増えてしまいます。

 総務省は6月20日、都道府県に対してインボイス制度への対応を求める通知を送付しました。そのもとで2023年度以降の入札参加資格にインボイス登録を加える自治体が出ています。福島市は9月に公表した2023~24年度の「入札参加資格申請の手引き」に「インボイス制度の登録がない場合、水道局および下水道室発注の工事等の受注ができなくなりますので、ご注意ください」と明記していました。

 小池事務所が9月29日、総務省と財務省に説明を求めたところ、福島市の規定について地方自治法施行令と予算決算及び会計令に照らして検討中とのことでした。指摘を受け財務省は、各省庁に地方自治体などの入札から免税業者を排除することは妥当ではないとの判断を伝え、その後、福島市は規定を修正。年間売上高1000万円以下の免税業者を排除する文言は削除されました。

 今回の福島市の規定は公共工事や公共調達から小規模事業者を切り捨てる行為であり許されるものではありません。また、地域経済に影響を与えるものであり、小規模企業振興基本法・条例の精神にも反するものです。

 同時に、自治体に対し、免税業者を入札や公契約から排除するか、自治体の消費税負担の増加を覚悟して免税業者との取り引きを続けるか―を迫るインボイス制度の導入を強行しようとしていることにそもそもの問題があります。コロナ禍に続く物価高の中で苦闘する中小業者の経営をさらに悪化させるインボイス制度の実施をさせないことが重要です。(清水渡)

 インボイス 適格請求書ともいわれ、取り引きの際、個別の商品・サービスごとに価格と適用税率、税額が明記された書類です。インボイスには商品販売・サービス提供業者が税務署から交付された納税番号を記載することが必要です。そのため年間売上高1000万円以下の免税業者は発行することができません。消費税は売り上げで受け取ったとされる消費税額から、仕入れ額に含まれる消費税相当額を差し引いた額を納税することになっています。現行の帳簿等保存方式では免税業者からの仕入れでも、消費税額を販売時に受け取った消費税額から差し引くことができました。政府は来年10月から現行の帳簿等保存方式からインボイス保存方式への変更を狙っています。インボイス制度導入後は消費税課税業者は、免税業者から仕入れを行うと、消費税納税額が増えてしまうため、取り引きを避けることなどが懸念されています。


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