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2022年10月4日(火)

岸田首相の所信表明

この首相には任せられない

 「この首相には、とても『国難ともいえる状況』を任せられない」。岸田文雄首相の所信表明演説を聞いて、この思いが強くなりました。岸田首相は、自身の政治家としての「原点」は「『厳しい意見を聞く』姿勢にこそある」と強調しました。しかし、岸田首相の演説からは、国民の声に耳を傾け、向き合おうとする姿がもはやみじんも感じられません。むしろ際立つのは、言葉とは裏腹に、国民の命と暮らしを根底から脅かす危険な道へと突き進むかたくなさ、そのものです。

 「買い物の際、欲しい食材の価格を見て思わず手を止め、買うのを諦めた」「光熱費の明細を見るのが怖い」「家族で外食をしても子どもたちに『高いものは注文するな』とくぎを刺す」―。食料品や光熱費の高騰が暮らしを直撃しています。

 ところが、岸田首相は「生活に身近な商品の値上がりが続く事態に対し、機動的な対応を行ってきた」と言い切りました。「朝日」の調査では、物価高による生活への負担を70%が「感じる」と回答。物価高に対する岸田首相の対応を「評価する」は19%で「評価しない」が71%に上っています。岸田首相の言葉からは、私たちの暮らしに思いを寄せる姿勢はまったく感じられません。

 「聞く力」を誇示する岸田首相の無責任ぶりは、統一協会との癒着問題にも顕著に現れています。岸田首相は「信頼回復のために、各般の取り組みを進めていく」といいました。しかし、統一協会の反社会的な行動への認識も、自民党の政治家が「広告塔」となって被害を広げたことへの反省も、自らの責任での調査についても一切、触れません。これで「信頼回復」といっても誰も信用しません。

 一方、岸田首相は、国民の命と暮らしを危険にさらす暴走を加速させる姿勢を際立たせています。

 外交・安全保障では、軍事費2倍の大軍拡とともに「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有検討、発議をめざしての憲法論議の促進をあらためて宣言しました。しかし、大軍拡はいずれ社会保障削減・増税となって国民に跳ね返ってきます。日本の領土への攻撃もないのに相手国への攻撃を開始する、集団的自衛権行使と一体の「反撃能力」の検討は、東アジアでの軍事的緊張の激化を加速させます。

 経済政策では、「円安のメリットを生かした経済構造の強靭(きょうじん)化」などといって異常円安を容認し、失敗だらけの従来型の「賃上げ」政策を繰り返すだけでした。これでは、私たちの生活はますます苦しくなるばかりです。異常円安の大本にある「異次元の金融緩和」や「賃金の上がらない国」にしてしまった労働法制の相次ぐ緩和という根本問題にメスを入れなければ、国民生活を守ることは到底できません。

 臨時国会は、岸田首相が「国難」といったように、まさに私たちの命と暮らしの将来がかかった「岐路」で開かれます。そんななか、岸田首相が国民の厳しい批判に耳を傾けず、暴走を続けるなら、民意との乖離(かいり)はますます深まります。(国会取材団キャップ 佐藤高志)


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