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2022年10月1日(土)

主張

学術会議介入2年

6人の会員任命求める声聞け

 日本学術会議が推薦した会員候補105人のうちの6人を、菅義偉前首相が2020年10月1日に任命拒否してから2年です。特定の学者を何の理由も示さずに排除し、日本学術会議法に基づく任命義務を首相が拒否することは、「学問の自由」を侵害し、法治主義を掘り崩す重大な問題です。政府による違憲・違法の暴挙をこのままにすることはできません。

「学問の自由」侵す暴挙

 学術会議は任命拒否に対して直ちに「6名が任命されない理由の説明」と「速やかな任命」を首相に要請しました(20年10月2日の総会)。その後も繰り返し首相に任命を要請しています。

 21年4月の総会では、声明「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」を決定しました。声明は、「法の定めを満たさぬ状態が続くならば、それは本会議の独立性を侵す可能性がある」「(任命権者には)一般的な説明を超えた特段の理由を示す責任があります」とのべ、問題の解決を首相に要求しました。同年9月30日の梶田隆章会長談話では「科学と政治との信頼醸成と対話を困難にするものだ」と指摘し、解決への努力を強く求めています。

 同年11月には日本弁護士連合会も意見書を発表し、「任命の拒否は、日本学術会議法の関係規定に違反するものであるとともに、憲法23条の保障する学問の自由を脅かすものであり、現在も放置し得ない重大な課題」と強調し、菅氏から交代した岸田文雄首相に対して、(1)速やかに会員に任命する(2)国民に対する説明責任を果たす(3)会員選任過程への介入をしないことを求めました。

 岸田首相が就任してから繰り返し表明している「聞く力」があるのなら、学術会議の要望をはじめ国民の声に真摯(しんし)に向き合い、任命を決断すべきです。ところが岸田首相は、今年1月の梶田会長との面談で「一連の手続きは終了している」と主張し、要請に応じる姿勢をみせていません。

 松野博一官房長官は8月3日、梶田会長との対話で任命を拒否したうえ、6人の会員候補の再選考を学術会議が行うよう提案しました。政府の違憲・違法な任命拒否を容認するよう迫ることに他ならず、許し難い開き直りです。

 8月10日の学術会議総会で「学術会議の独立性を自ら否定することになる。民主主義の根幹が脅かされている」など厳しい批判が相次ぎました。

 岸田政権と自民党が「学術会議のあり方の見直し」に問題をすり替えていることも重大です。政府は、与党や学術会議の意見を踏まえ改革案を決定し、23年度末までに法案を国会提出する方向です。

独立脅かす見直しやめよ

 自民党のプロジェクトチームは20年12月に提言をまとめ、学術会議を「国の特別の機関」から「独立した法人」に変えることや、学術会議を政府の政策を推進するための「シンクタンク」に変質させることを政府に求めました。

 今年8月に政府が一度まとめた改革案に対しても「党提言との隔たりが大きい」として了承せず、座長のもとで検討するとしました。こうした政治介入は学術会議の独立性を脅かすものです。

 岸田首相は学術会議への一切の政治介入をやめ、6人を速やかに任命しなければなりません。


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