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2022年9月30日(金)

社会保障負担増あすから

75歳以上医療費2割負担・紹介状なし受診値上げ

 10月1日から社会保障に関する制度改定が行われます。中身を見ると、コロナ禍のもとでも国民負担増・給付削減をなりふり構わず進める岸田政権の姿勢が鮮明に見えます。


 75歳以上で一定の所得がある高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げます。「現役並み所得」の人はすでに3割負担になっています。2割負担の対象者は全体の約2割にあたる約370万人にのぼります。

 政府は2割負担対象者は「負担能力がある」などと言って負担増を正当化してきましたが、実際は受診控えが起きて給付費削減ができると見込んでいました。今後、受診控えで病気が重症化する事態が危惧されています。

 「(父は)91歳でこれまで骨折で3回入院しているので大変不安だ」「2倍化の恐れもあり、車はやめ、パソコンもやめた。孤立が深まる恐れがあり、助けてほしい」「健康を守るため努力している。これ以上高齢者いじめはやめてほしい」―。2割負担化の中止を求める全国保険医団体連合会(保団連)の取り組みに、多くの切実な声が集まっています。

 10月からは、紹介状なしで大・中規模病院を受診した患者に支払わせる窓口負担(1~3割)とは別の追加負担金も引き上げます。初診時は現行の「5千円以上」から「7千円以上」にします。負担増でねん出した財源を保険給付(7~9割)の削減に充てます。

 マイナンバーカードを健康保険証代わりに使える新制度をめぐって、導入施設で従来の保険証を使う患者の窓口負担の方を割高にします。3割負担の場合で初診時にカード利用者の負担増は6円に抑える一方、保険証利用者は12円の負担増とすることでカードの取得を促す狙いです。

 子育て関連は、中学生以下の子どもがいる世帯に対する児童手当制度の「特例給付」(子ども1人につき月5千円)の対象を狭め、年収1200万円以上の世帯(子2人と年収103万円以下の配偶者の場合)への支給を廃止します。少なすぎる子育て支援の現金給付を削り、少子化対策に逆行するものです。

 一方で、短時間労働者の厚生年金の適用範囲を広げ、勤務先の従業員数を「501人以上」から「101人以上」に下げます。週の所定労働時間が20時間以上で月額賃金8万8千円以上の人が対象で、勤務期間の要件は2カ月超に緩和します。重い保険料負担の解決や低賃金・低年金の引き上げ、経営が苦しい中小零細企業の保険料負担の減免など課題山積です。

■10月からの社会保障関連の主な制度改定

○75歳以上の人に医療費窓口2割負担を導入・負担増に

○大・中規模病院での紹介状なし患者の追加負担金アップ

○マイナンバーカードを保険証代わりに受診する患者より従来の保険証で受診する患者の窓口負担を割高にする

○児童手当制度の「特例給付」の支給対象を縮小


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