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2022年9月20日(火)

きょうの潮流

 「障害者を締め出す社会は弱くてもろい社会だ」。京都市長選に3回挑んだ井上吉郎さん(享年77歳)はたびたび、国連のこの言葉を演説で引用しました。吉郎さんが亡くなり、間もなく1カ月がたちます▼誰も「排除しない社会」をめざして陰に日なたに活動する姿は、病に倒れ60歳で障害を負ってからも変わりませんでした。吉郎さんの周りには自然と人が集まりました▼障害者に「応益負担」を課した障害者自立支援法に対しては、全国の障害者とともに違憲だと国を訴えて裁判をたたかいました。「社会福祉施策転換の手がかりを作った運動に加われたことを誇りに思います。終わりは新たなたたかいの始まりです」。勝利的和解を迎えたときの吉郎さんのことばです▼おなかに穴を開けて栄養をとる胃ろうをつくっていました。「尊厳死法案」をめぐる動きが出たころ、「意思表示のできない人が生きることは無意味なのか」「権力者が命の線引きをする。それは命の尊厳を土足で踏みにじるものだ」と語っていました▼右半身まひがあり、発話が少し困難な吉郎さんが2013年に1人で始めた「無言宣伝」。「異議あり!秘密保護法」と手書きのプラカードを首から下げて車いすの上で静かに訴えます。毎月曜日の朝、北野白梅町駅前での行動です。「微力かもしれないが、無力ではない」と始めた行動は、参加者が広がりました▼吉郎さんのフェイスブックにはいまも新しい投稿が。参加者が無言宣伝の写真を一言添えて載せています。


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