2022年9月1日(木)
警察は疑問に答えて
大垣市民監視、控訴審始まる
名古屋高裁
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大垣警察市民監視事件の控訴審が31日、名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)で始まりました。被害者の船田伸子さん(65)は「なぜ警察が私の個人情報を知っていたのか、知る必要があるのか、どう入手したのか。警察は私の疑問に答えてない」と訴えました。
今年2月の岐阜地裁判決は、岐阜県警大垣署による中部電力の子会社への情報提供は「悪質」と断罪。自身の個人情報を提供された4人にそれぞれ55万円の賠償を岐阜県に命じました。
しかし「万が一の事態に備えて日頃から原告らに関する情報収集等をする必要性があったことは否定できない」と公安警察が情報収集することの違法性を認めませんでした。
この日の口頭弁論で陳述した船田さんは「私が対象になっていることは私と私につながる全ての人も収集の対象になること。そんな社会が本当に正しいのか司法に問いたい」と強調しました。
弁護団長の山田秀樹弁護士は「『市民運動を展開する可能性』などということによって、個人情報を収集・保有することが正当化されてはならない」と一審判決を批判しました。
山本妙弁護士は「個人情報の収集が“暴徒化”の予防になるわけでもない。勉強会や市長への嘆願に取り組んできた原告がこのように評価されるいわれはない。原告の情報収集の必要性は皆無だ」とのべました。
裁判では、岐阜県に損害賠償と、国と県に警察が保有する被害者4人の個人情報の抹消を求めています。
一審で一部敗訴した岐阜県側は反原発、脱原発の市民運動をあたかも“過激”なもののように描いた「警察白書」を引用。警察による市民の個人情報集めを合理化しています。