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2022年9月1日(木)

軍事費過去最大5.6兆円

防衛省 事項要求含め6兆円台半ば

グラフ

 防衛省は31日に決定した2023年度概算要求で、過去最大だった22年度当初予算を2260億円上回る5兆5947億円を計上しました。13年度から11年連続で前年度を上回り、9年連続で過去最大を更新。さらに金額を明示しない「事項要求」を100件超盛り込んでおり、年末に改定される国家安全保障戦略など3文書を踏まえ、来年度の予算編成では6兆円台半ばが視野に入るとみられます。

 岸田文雄首相は5月の日米首脳会談で、軍事費を5年以内で国内総生産(GDP)比2%=11兆円規模に倍加するとの自民党公約を念頭に、「防衛費の相当な増額」をバイデン大統領に誓約。物価高で苦しむ国民生活への対策を後回しし、対米公約を最優先する姿勢を示しました。

 「事項要求」の対象としては、違憲の敵基地攻撃能力につながる「スタンドオフ防衛能力」を強調。射程を現在の百数十キロから1000キロ程度に延ばす「12式地対艦誘導弾」(地発型)の量産化を初めて盛り込みました。また、大気圏内を超音速で滑空、攻撃する「高速滑空弾」(早期装備型)の量産にも着手。F15戦闘機能力向上型に配備するスタンド・オフ・ミサイル「JASSM」の取得もあげました。

 さらに、中国艦船を念頭にした地対艦ミサイル部隊を沖縄本島に配備する計画を明示。陸自勝連分屯地(うるま市)への配備が想定されています。既に沖縄県の宮古島、石垣島と鹿児島県の奄美大島に地対艦ミサイル部隊の配備が進んでいます。南西諸島を対中戦争の最前線にし、沖縄を再び「戦場(いくさば)」にする計画です。

 長期の戦闘を想定し、12式地対艦誘導弾など弾薬の製造態勢の確保や、スタンド・オフ・ミサイルなどを保管する火薬庫の整備費、さらに司令部の地下化や、被害を受けた滑走路を復旧する器材も盛り込みました。米軍の対中戦争に参戦し、日本が報復攻撃を受け、国土が戦場になることを想定したものです。

 F35A、Bステルス戦闘機など、米国製高額兵器の導入費も引き続き盛り込んでいます。

防衛省概算要求のポイント

全体

・過去最大の5兆5947億円を計上。金額を明示しない「事項要求」が100件超。

スタンドオフ防衛能力

・「12式地対艦誘導弾」(地発型)や「高速滑空弾」の量産に着手。F15戦闘機に搭載するスタンド・オフ・ミサイル「JASSM」を取得。極超音速誘導弾の研究。

総合ミサイル防空能力

・イージス・システム搭載艦の整備費を計上。

無人アセット防衛能力

・攻撃が可能な無人機を整備。

領域横断作戦能力

・「いずも」型護衛艦の改修や、F35A、F35Bステルス戦闘機(各6機)の取得費を計上。F15戦闘機の能力を向上。

持続性・強靱性

・12式地対艦誘導弾など弾薬の製造態勢を確保。大型弾薬を保管する火薬庫を整備。

防衛生産・技術基盤の基盤強化

・国内軍需産業支援の枠組みを創設。


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