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2022年8月30日(火)

主張

NPT再検討会議

核保有国を圧倒した世界の声

 ニューヨークの国連本部で1日から開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議が26日、最終文書を採択できずに閉幕しました。最終文書案に反対を表明したロシアだけでなく、核兵器のない世界への前進を押しとどめようとした核保有五大国は厳しく非難されなければなりません。一方、核兵器禁止条約の発効を受け、会議の討論などでは核廃絶が世界の本流であることが示されました。

廃絶の本流止められない

 今回の再検討会議は、ウクライナを侵略したロシアが核兵器の先制使用を公言し、核保有国が軍拡競争を強める緊迫した情勢の中で開かれました。最大の焦点は、核軍備の縮小・撤廃の交渉義務を定めたNPT第6条や、過去の再検討会議で合意した核軍縮の約束を、「核抑止力」論に固執する保有国にどう実行させるかでした。

 ロシアは、自国軍が占拠したウクライナのザポロジエ原発をめぐる記述に反対し、全会一致が原則である文書採択を妨げました。同時に、合意を妨害したのは核保有五大国全体です。NPT第6条の義務を履行しようとせず、核廃絶に背を向けました。核兵器の非人道性や核兵器禁止条約に言及した文書案には削除や変更の要求を繰り返しました。

 これに対して核兵器禁止条約の締約国・署名国(現時点でそれぞれ66カ国、86カ国)は共同声明で「核兵器は、強制、脅迫、緊張激化につながる政策の道具として使用されている」と「核抑止力」論を強く批判しました。また「禁止条約がかつてなく必要とされている」と訴えました。

 討論では、6月に開かれた禁止条約第1回締約国会議のウィーン宣言に触れ、NPT第6条に基づく合意の実行を核保有国に迫る発言が非保有国から相次ぎました。保有国は防戦に回らざるをえませんでした。

 採択されなかったものの、最終文書案には、核兵器の非人道性に対する懸念や、核兵器の全廃を達成するという「核兵器国の明確な約束の再確認」が盛りこまれました。核兵器禁止条約の発効と第1回締約国会議開催への言及も維持されました。禁止条約の賛同国や被爆者をはじめ市民社会の声が核保有国を追い詰めた結果です。

 会議期間中には市民団体が討論会をはじめさまざまな行動を展開し、核廃絶の推進を働きかけました。国連本部内で日本被団協が主催する原爆展が開催されました。会議のNGOセッションでは日本原水協の発言を笠井亮・日本共産党衆院議員が行い、原水爆禁止世界大会の要求を伝えました。

ますます重要な禁止条約

 核廃絶を求める国の政府と市民社会が共同を広げ、NPTと核兵器禁止条約を車の両輪として推進することがますます重要です。

 会議最終日には核兵器禁止条約の締約国・署名国を代表してメキシコが「NPTの目的達成には新たな勢いが必要だ」とし、核兵器による破局から人類を救うために「すべての国が禁止条約に参加し、核兵器を全廃するまで休むことはない」と決意を表明しました。

 唯一の戦争被爆国の首相として初参加した岸田文雄首相は、NPT第6条にも核兵器禁止条約にも触れず、廃絶の流れに逆行する姿勢でした。日本政府はただちに禁止条約に署名・批准すべきです。


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