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2022年8月29日(月)

沖縄県知事選 主要論戦を見る(上)

辺野古新基地

民意と違法性を主張 デニー氏

「工期短縮」根拠示せず 佐喜真氏

三つの基地米軍に提供 下地氏

 「オール沖縄」の玉城デニー知事、自民・公明推薦で政府丸抱えの佐喜真淳前宜野湾市長、下地幹郎元衆院議員の3氏による争いとなった沖縄県知事選(9月11日投票)。主要論点ごとに、対決点を明らかにしていきます。(県知事選取材班)


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(写真)新基地建設が強行されている辺野古・大浦湾。右側の大浦湾深部に軟弱地盤が広がっている=2021年12月、沖縄県名護市(許可を得て小型無人機で撮影)

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(写真)米軍新基地建設は許さないと訴える玉城デニー知事(右)=25日、沖縄県名護市辺野古

 最大争点になるのは、名護市辺野古の米軍新基地建設です。デニー知事は25日の第一声で、「翁長雄志前知事が命をかけて貫いたその意思を、私も折れることなく自分の信念のど真ん中に置いて、辺野古に新しい基地をつくらせない」と表明しました。デニー知事が主張する新基地反対の論拠は、主に2点です。

 第1は圧倒的な民意です。過去2回の県知事選で新基地反対を掲げた翁長氏、デニー氏が圧勝。2019年2月の県民投票でも7割が反対を表明。こうした民意に寄り添うことができるのはデニー知事だけです。

 第2が工事の違法性・困難性です。辺野古の軟弱地盤は最深で90メートルに達しますが、現在の技術では改良工事は不可能で、このまま強行すれば地盤沈下の危険があります。さらに7万本もの砂杭を打ち込むなどの大規模工事で海洋環境は破壊されます。「国土保全や災害防止への配慮」などを要件とする公有水面埋立法の要件を満たしておらず、違法であるとして、県は設計変更申請を不承認にしました。

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 佐喜真氏は主要政策の一つに、「辺野古の埋め立て工期短縮等で米軍普天間飛行場の返還を2030年までに実現」すると掲げ、新基地推進を表明しました。さらに、24日の公開討論会では、辺野古への「オスプレイ移駐」も明言しました。13年1月、「オスプレイ配備撤回」「辺野古新基地断念」を掲げた建白書に、宜野湾市長として署名したのに、政府言いなりに平気で民意を裏切る人物です。

 工期についても、防衛省が県に提出した設計変更申請は最短で9年としています。さらに、日米両政府が13年に合意した「統合計画」では、工期終了後も認証手続きなどで3年かかるとしており、合計で12年以上かかります。佐喜真氏はこれまで、工期短縮の具体的な根拠を何ら説明していません。

 しかも、土砂投入開始から約3年8カ月で、現在の投入量は必要総量の11・7%にすぎません。埋め立てに30年はかかるペースです。

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 下地氏は、辺野古の問題を「終わらせる」(24日の総決起大会)などと豪語しますが、辺野古の埋め立てられた部分を基地として「活用」し、オスプレイなどを移駐。普天間基地も「軍民共用」化、さらに馬毛島(鹿児島県西之表市)も訓練場として「活用」し、三つの基地を米軍に差し出す最悪の立場です。

 デニー知事は軍民共用化を厳しく批判し、「市民の願いは町の真ん中に居座り続ける普天間基地の閉鎖返還だ」(25日、宜野湾市内)と訴えています。また、辺野古にオスプレイを移駐させれば、「終わらせる」どころか爆音や事故の危険などはそのまま沖縄に残ります。

 さらに、馬毛島をめぐっては、防衛省が民意無視、環境影響評価法を逸脱した工事の着工など、民主主義や法治主義を踏みにじった、辺野古と全く同じやり方で基地建設を推進しています。自分たちの苦しみを県外の住民に押し付けることは、沖縄県民の望むところではありません。


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