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2022年8月21日(日)

“発達障害は親のせい”の親学

佐喜真前宜野湾市長が推進の先頭に

「女性活躍」と対極

 沖縄県知事選(25日告示、9月11日投票)で、立候補を予定する佐喜真淳前宜野湾市長=自民・公明推薦=は、“発達障害は親のせい”などとの特異な考えに基づいた子育てを実践する「親学(おやがく)」推進の先頭に立ってきた人物です。

 佐喜真氏は、選挙政策で「女性活躍」「多様性尊重」などを掲げています。しかし親学は、子育ての責任が家庭にあるとし、特に母親にその負担を押しつけた戦前の家父長制的な家族・ジェンダー観によって成り立っており、その対極にあります。

 親学の提唱者は、改憲右翼団体「日本会議」の元政策委員、高橋史朗元明星大学教授。子どもが幼いうちは、母親が家にいて愛情を注いで子育てをしないと、脳の発達に影響を及ぼすという主張が理論の根幹にあります。赤ちゃんは子守唄を聞かせ母乳で育てることなどを提言しています。

 親学の推進をめぐっては2012年、自民、公明両党などの国会議員でつくる議員連盟(設立時の会長は安倍晋三元首相)が発足しています。

 沖縄県親学推進議員連盟の発足は、統一協会系の日刊紙「世界日報」によると11年6月11日。同26日付の世界日報は親学の議連発足は沖縄が全国初とし、自民党県議だった佐喜真氏が会長に就任したと報じています。

 佐喜真氏は、議連発足後の同紙のインタビューで、離婚率の高さや深夜型社会による沖縄の劣悪な子育て環境などに言及しています。一方、それらの社会的要因となっている貧困問題にはふれず、「悪い伝統・習慣を改善する必要がある」「一番の原点は家庭で、次に地域、社会、学校が来る」と強調。親が変わることで子どもが変わるとして、「伝統的子育て」への回帰を含め親学について語りました。

 女性に子育ての過大な負担を強いることを理想とする復古的なジェンダー観を持ち、多様性ではなく画一性を押しつける親学は長年、大きな批判を呼んできました。議連とは別に、提唱者の高橋氏らによる親学推進協会がありましたが今年になって解散。しかし、NPO法人の設立を予定し、親学推進をはかっていくとしています。

 本紙は佐喜真氏の事務所に、沖縄県親学推進議連設立と会長就任の経緯や、同議連が今も存続しているのかどうかなどについて質問しましたが、回答はありませんでした。


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