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2022年8月21日(日)

主張

杉田氏政務官起用

首相は差別的言動を許すのか

 岸田文雄首相が内閣改造に伴い、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員を総務省の政務官に起用したことに批判が相次いでいます。杉田氏はLGBTなど性的少数者を差別したり、性暴力被害者を侮辱したりする言動を繰り返し、国民の怒りをかった政治家です。議員辞職を要求されたこともあります。杉田氏は、これまで批判を浴びた自身の発言について謝罪も撤回もせず、反省もしていません。総務政務官は総務相、総務副大臣に次ぐポストです。岸田首相はどのような判断で、杉田氏を要職につけたのか。任命責任が厳しく問われます。

「LGBT生産性ない」

 杉田氏は2018年、月刊誌『新潮45』に寄稿し、LGBTの人たちに「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」などと侮蔑的な言葉を投げつけました。「生産性」という表現で人間の価値を決める発想は「優生思想」にも通じます。多くの国民から批判が集まり、自民党本部前では抗議行動も繰り広げられました。しかし、杉田氏は誤解を招いたと言い訳に終始し、自民党は形ばかりの「指導」で不問にしました。

 20年、杉田氏は性暴力被害者の相談事業をテーマにした自民党内の会合で「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言しました。勇気をふるって自らの被害を語り始めた女性を深く傷つけ、尊厳を踏みにじる許し難い暴言です。政治家としての資格そのものが問われ、議員辞職を求める署名は13万人以上も寄せられました。

 ジェンダー平等の敵視は、同氏の持論です。自民党の前に所属していた「次世代の党」時代、衆院本会議で「女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女共同参画の名のもと、伝統や習慣を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因する。男女平等は絶対に実現しえない反道徳の妄想だ」(14年)と述べています。

 杉田氏は15日、政務官就任の記者会見で「過去に多様性を否定したこともなく、性的マイノリティーの方々を差別したこともございません」と開き直りました。この発言自体、無反省であることを浮き彫りにしています。同氏は16年、統一協会の信者から支援をもらうのは問題ないとツイッターに投稿しており、同協会との関係でも疑惑が払しょくされていません。

 杉田氏に注目したのは安倍晋三元首相らです。17年の衆院選で自民党公認となり、比例代表中国ブロックで当選しました。岸田政権下の昨年の衆院選では同ブロック単独3番目に同氏を登載し、当選させました。同氏を厚遇してきた自民党の責任は極めて重大です。

首相の任命責任は重大

 文部科学省の副大臣に就いた簗(やな)和生・自民党衆院議員も昨年の同党の会議でのLGBTの議論の中で「種の保存」に反すると述べて問題になりました。同氏の起用についても曖昧にできません。

 内閣改造は統一協会をめぐって国民の不信を増幅させています。閣僚、副大臣、政務官の4割が統一協会との接点を認めました。しかし、首相は同協会との関係の調査を個人任せにし、政府・自民党としての解明を拒んでいます。国会の早期召集にも応じません。国民の疑問に答えず、説明もしない政治を許してはなりません。


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