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2022年8月16日(火)

きょうの潮流

 障害のある人は優生保護法下でかつて、不妊手術を強制されました。その数約2万5000人。たまたま障害を持って生まれたために、生涯にわたる苦しみを味わわされるような人権侵害を受けたのです▼「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」。同法のこの目的は1996年に法が廃止されてもなお、社会や私たちの意識に大きな影を落としています▼障害のある女性が結婚、妊娠・出産、子育てをするには多くの困難があります。優生思想に裏打ちされた根深い障害者差別があるからです。結婚式の招待状を未開封のまま返された。2人目の出産前に不妊手術を勧められた。「子どもに熱が出たらどうするの?」と自身でケアできないことを責められる…▼性と生殖に関する健康と権利を認めないような対応を受けることも。障害者権利条約は、障害者が子の数を決め、養育に必要な援助をするよう求めます▼強制不妊手術の被害者は裁判で、障害者差別の解決を求めてたたかっています。弁護団に加わる藤原精吾弁護士は「障害があることでその人の評価を下げるのは、資本主義社会特有のことではないか」と問いかけます▼生産性に価値を置く資本主義を乗り越えて、優生思想を克服する―。私たちには不断の努力を続けることが求められます。脳性まひで車いすを使う20代女性の言葉が力強い。「障害のある人が『自分の人生』を生きることが妨げられるような差別は、私たちの世代で止めなければ」


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