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2022年8月11日(木)

欧州労組「命守れ」運動

物価は高騰 生活水準下落「もうたくさん」

賃上げ・貧困一掃迫る

 【ベルリン=桑野白馬】欧州の労働組合が、エネルギーや食料など物価の高騰によって国民生活が危機に陥っているとして、団結して「労働者の命を守ろう」と運動を広げています。


 インフレ率が10%近くに達している英国では、労組や、貧困層に食料支援を行う各地のフードバンクなどの市民団体、労働党の左派議員らが9日、共闘組織「もうたくさんだ」を結成しました。

 富裕層への課税を財源とし、▽物価上昇に見合う賃上げ▽エネルギー価格の引き下げ▽食料貧困の一掃▽すべての人に良質な住宅を提供―を要求しています。

 全国の自治体で約50もの支部が結成され、ウェブサイトでは賛同者が10万人に達したとしています。今後、大規模な集会を予定しています。

 英国では、政府によるエネルギー価格の上限引き上げで、10月にさらに大幅な値上げが予定されています。このため同運動団体は、人びとに「怒りを行動に移そう」と呼びかける方針です。

 鉄道海運運輸労働組合(RMT)のリンチ書記長は声明で、「この30年間、英国の生活水準は下がり続けている」と指摘。「労働者階級の人々の状況はもっとよくなるはず。今こそ『もうたくさんだ』と言うときだ」と強調しました。

 ポルトガルでは、ポルトガル労働総同盟(CGTP)が8日、購買力の低下や労働・生活環境の悪化に歯止めをかける「緊急対策」を政府に求める声明を発表しました。

 具体的には、▽全労働者の賃金を90ユーロ(約1万2400円)引き上げ▽物価高騰を考慮した特別な賃上げ▽年金と退職金の特別増額▽大企業の利益への課税―を求めています。

 CGTPは、エネルギー価格の高騰を背景に大手エネルギー会社が「膨大な利益の増加」を得る一方、労働者や年金受給者は購買力が低下し、公的補助も受けられていないと批判。その背景として、「資本の利益の根底にある投機と搾取」があると指摘しました。


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