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2022年8月10日(水)

主張

2022年世界大会

「核の危機」打開へ共同さらに

 原水爆禁止2022年世界大会は9日、ナガサキデー集会で、国内の運動強化を訴える「長崎からのよびかけ」を採択し閉幕しました。4日からの大会は「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」の原点に立ち、核兵器廃絶への行動を国内外に力強く発信しました。

市民社会と諸国政府と

 6日のヒロシマデー集会は、世界に向けて「広島宣言」を採択しました。「宣言」は、核戦争の危険に直面するもとで、核兵器は「『絶滅』だけを目的とした『絶対悪の兵器』である。その使用も、使用の威嚇も断じて許してはならない」と述べ、「核兵器のない平和で公正な世界」への固い決意を表明しました。

 大会前、ウィーンで核兵器禁止条約第1回締約国会議(6月21~23日)が開催されました。オンラインで大会に参加した締約国会議議長のアレクサンダー・クメント大使(オーストリア)は、締約国会議が画期的成功を収めたことを紹介し、「より広範な社会的階層を動員すること」が大事だと述べ、世論と運動の結集を訴えました。

 「広島宣言」も「禁止条約を力に、市民社会と諸国政府との共同をさらに発展させるならば、『核兵器のない世界』への展望をきりひらくことは可能である」と記しました。国際政治と市民社会が共鳴し合って危機的情勢を打開し、前進できる希望が示されています。

 ロシアによるウクライナ侵略を機に核兵器に依存する動きが強まっていることに対し、「広島宣言」は、「核抑止力」は「核兵器を使用して、無数の人々の命を奪い、都市と環境を破壊し、破滅的な結末をもたらすことを前提としたものである」と非難し、その克服を訴えました。締約国会議も「核兵器が実際に使用されるという脅威」(ウィーン宣言)に基づくものであると批判し、市民社会と共通の声を上げました。

 大会は、ニューヨークで開かれている核不拡散条約(NPT)再検討会議(1~26日)に向けた被爆地からの強力なメッセージとなりました。「広島宣言」は、米ロ英仏中の五大国の姿勢を、NPT第6条の核軍縮交渉の義務や「核兵器のない世界」実現の誓約などの「実行に背を向けるばかりか、核兵器の『近代化』や核使用政策の強化をすすめている」と強く批判し、「この不誠実な態度」を改めて、条約の義務と合意を誠実に実行するよう迫りました。

 大会ではウクライナとロシアの平和運動代表が、ロシアの暴挙を許さない国際世論を広げる必要性を訴えました。国連憲章違反のウクライナ侵略に反対する市民の国際連帯を強める場としても、大会には重要な成果がありました。

反核平和の願いを広げて

 岸田文雄首相は、NPT再検討会議でも、広島と長崎の平和記念式典でも、核兵器禁止条約を無視しました。しかし、禁止条約が世界の圧倒的多数の国々に支持され、批准国が増えている現実に、目を閉ざし続けることはできません。

 岸田政権が狙う大軍拡、「敵基地攻撃能力」保有、9条改憲などは反核平和を求める広範な国民の願いに反しています。「核抑止力」論やアメリカの「核の傘」への依存から抜け出し、核兵器禁止条約への参加こそ、日本が進むべき道です。その実現をめざす運動をさらに大きく発展させましょう。


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