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2022年7月23日(土)

常総水害 国に賠償命令

河川管理一部で不備

水戸地裁 「優れた判断」と原告側

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(写真)国の責任が認められ「勝訴」の垂れ幕を掲げて喜ぶ原告と弁護団ら=22日、水戸地裁前(水戸市)

 2015年9月に発生した関東・東北豪雨で、鬼怒(きぬ)川の堤防が決壊したのは国の河川管理に不備があったためだとして、茨城県常総市の住民ら31人と1法人が国に損害賠償を求めた裁判で、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)は22日、国の責任を認め、計約3928万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

 住民らは18年8月に提訴。主な争点は2地区について国の河川管理と改修計画が合理的かどうか。若宮戸地区について国が河川管理区域の指定を怠ったために、堤防の役割を果たしていた砂丘林が事業者に掘削され、氾濫が生じたと主張。上三坂地区の堤防高が低く危険だったのに、整備を後回しにした国の責任を問いました。

 判決は、若宮戸地区の砂丘林について「河川区域に指定するべき義務があったのに、これを怠った」と断罪。国に瑕疵(かし)があったとして住民9人について賠償を認めました。

 上三坂地区の住民については、下流から優先させて堤防を整備する国の改修計画に「格別不合理とまではいえない」としました。

 原告団の片倉一美共同代表は「国の瑕疵を認めてくれたのは歴史的な判決だ」、原告代理人の只野靖弁護士は「水害は人災だということと、一部かもしれないが瑕疵が認められた。優れた判断だ」と評価しました。

 当時、台風18号などの影響で、市内の約3分の1にあたる40平方キロメートルが浸水。46人が重軽傷を負い、13人が災害関連死に認定されています。


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