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2022年7月13日(水)

再エネ抑制で石炭高騰が直撃

輸入価格4.5倍 電気料金にも影響

風力・太陽光へ置き換え必要

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 ロシアのウクライナ侵略などの影響で世界的に石炭価格が高騰し、自公政権の円安誘導とあいまって石炭輸入額を押し上げています。東京電力福島第1原発事故後も自公政権が原発と石炭火力発電に固執し、再生可能エネルギーの導入を抑制してきたことが、電気料金の値上げとなって国民のくらしを襲っています。

 石炭火発は他の火力発電と比べても温室効果ガスの排出量が極めて多く、環境NGO気候ネットワークの2021年の調査では日本全体の排出量の2割弱を石炭火発が占めます。自公政権は福島原発事故後に策定した「エネルギー基本計画」で石炭火発を原発と並ぶ「重要電源」と明記。直近の基本計画でも「調達に係る地政学リスクが最も低(い)」「重要なエネルギー源」と位置づけます。

 その結果、20年の発電電力量の3割以上を石炭火発が占めています。太陽光発電と風力発電は合わせても8%です。

 対照的なのがイギリスです。同国ではこの10年間に太陽光と風力の比率が3%から28%へ増える一方、石炭火発は28%から2%に低下。デンマークも太陽光と風力を20%から61%に高め、石炭火発を44%から11%に低下させています。

 自公政権が「地政学リスクが低い」としていた石炭価格はウクライナ危機で急騰。財務省の貿易統計によれば、発電に使われる一般炭の1トン当たりの輸入価格は20年度の8452円が今年5月には3万8249円と4・5倍になっています。この水準が続けば年間の一般炭輸入額が4兆円を突破する可能性もあります。20年度の輸入額は9千億円弱なので3兆円以上の国内資金が余計に海外に流出することになります。

 再生可能エネルギーは温室効果ガスを出さず、100%国産なので資源価格高騰や為替変動の影響も受けません。日本でも、イギリスやデンマークのように石炭火発を太陽光と風力に置き換えていれば、石炭価格高騰の影響は極めて小さくすんだことになります。現在の電気料金上昇は自公政権の失政が招いたものです。(佐久間亮)


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