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2022年7月13日(水)

主張

伊波氏の勝利

新基地反対の強固な意思示す

 10日投開票の参院選沖縄選挙区(改選数1)で、名護市辺野古の米軍新基地建設阻止を掲げる「オール沖縄」の伊波洋一氏が議席を守り抜きました。自民党が組織を挙げて全面支援した同党候補を大激戦の末に破り、岸田文雄・自公政権に辺野古新基地ノーの民意を改めて突き付けました。画期的な勝利です。

再び戦場にさせない決意

 今回の選挙で自民党は、「全国32ある1人区の中でも一番大切なのが沖縄」(茂木敏充幹事長)と位置付け、岸田首相をはじめ菅義偉前首相、河野太郎広報本部長、世耕弘成参院幹事長ら幹部が続々と応援に入り、企業・団体への締め付けなどを徹底しました。岸田氏の沖縄訪問は、現職首相として国政選挙では9年ぶりといいます(「朝日」12日付)。茂木氏は公示前も含めて4度も沖縄入りしました。

 自民党候補は、辺野古新基地建設容認を明言しました。同党は昨秋の衆院選で名護市を抱える沖縄3区で勝利しました。今年も名護市など県内四つの市長選で推薦候補が当選し、民意が変わったと判断したことが容認を明確にした背景にあると報じられています。

 自民党が沖縄を「最重点区」と位置付けたのは、新基地建設に反対する伊波氏の議席を奪い、その勢いに乗って、9月に迫る県知事選で「オール沖縄」の玉城デニー知事を追い落とし、政権言いなりの県政にするという狙いがありました。伊波氏の勝利は、そうした狙いもくじくことになりました。

 沖縄の地元紙は「新基地建設について伊波氏は反対し、古謝玄太氏(自民党候補)は容認する立場で、違いは鮮明だ。伊波氏の当選によって有権者は建設阻止を支持したことになる」と指摘しています(琉球新報11日付)。

 伊波氏は選挙戦で、米軍普天間基地の閉鎖、辺野古新基地建設の断念を求めるとともに、岸田政権が狙う軍事費大幅増や「敵基地攻撃能力」の保有、南西諸島への自衛隊のミサイル網配備に反対し、「二度と沖縄を戦場にさせない」「憲法9条を守り、対話による平和外交を」と訴えました。

 地元紙は「『再び沖縄が戦争に巻き込まれるかもしれない』という危機感が広がり、沖縄戦を体験した県民に響いたのではないか」と分析しています(沖縄タイムス11日付)。さらに、米軍機事故など生活を脅かす基地問題の解決にも期待が集まったとし、「政府は、伊波氏の再選を、(本土)復帰50年の沖縄の現実に対する県民のシビアな(非常に厳しい)評価と受け止めるべきだ」と述べています(同)。

 松野博一官房長官は11日の会見で、沖縄選挙区では「(新基地反対の)民意が示された」と記者から指摘され、「普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」とし、「辺野古移設が唯一の解決策」と強弁しました。しかし、1996年の返還合意から26年間、普天間基地は全く動かず、危険は放置されたままです。計画の破綻は明らかです。

「オール沖縄」を大きく

 9月11日投票の知事選に向け、岸田政権がこれまで以上に総力を挙げてくることは間違いありません。それをはね返し、デニー知事の再選を何としても勝ち取るため「オール沖縄」の力をさらに大きくする必要があります。


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