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2022年7月7日(木)

シリーズ語ろう!スポーツ政策

国立登山研修所

予算増で機能拡充を

写真

(写真)国立登山研修所=富山県立山町

 コロナで密を避けられる登山やキャンプに人気が集まっています。その一方、山岳遭難は増えています。一昨年はコロナの影響で減ったものの昨年は再び増加に転じました。

初心者が急増

 変化したのが事故の起きた場所です。高く険しい山では減ったものの、里山や低山で増えました。新たに登山を始めた人たちが、十分な知識や技術がないため事故に遭っている構図です。身近に登山技術を学ぶ場がなく、安全に引率できるリーダーらが少ないことも要因の一つです。

 登山リーダーや指導者を養成する国の機関として国立登山研修所(富山県立山町)があります。1960年代初めに大学山岳部の冬山遭難が相次いだことを受け、67年に設立されました。

日本は遭難増

 しかし、研修所の予算が減らされ、一般の研修会は92年度の12事業(研修日数59日、参加者451人)から、本年度は8事業(40日、定員228人)に縮小されました。春山、夏山、冬山と3回行われてきた大学山岳部リーダー研修会は、一般の夏山と冬山のリーダー研修会に統合されてしまいました。

 5年前に高校生ら8人が亡くなった那須岳雪崩事故を受け、高校指導者の研修会が再開されましたが、その分他の研修が縮小された形です。

 同研修所のある講師は「もう少し予算が増えるだけでいろんなことができるようになる。国はメダルだけじゃなく、安全のためにもっとお金を使ってほしい」と訴えます。

 英国でも同時期に遭難が相次ぎ、リーダーの育成と資格を認定する機関がつくられました。いまではハイキングやクライミング、冬山登山など15コースの研修を実施。毎年2000人以上のリーダーや指導者を準国家資格として認定し、事故防止に貢献しています。

 山岳遭難が増え続ける日本は世界でも特異な国です。日本共産党が求める「国立登山研修所の機能拡充」は急務です。


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