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2022年7月7日(木)

原発頼みをやめて再エネ・省エネ推進を

電力不足招いた自公政権の責任重大

 「電力需給の逼迫(ひっぱく)」が叫ばれるなか、自民、公明、維新、国民民主の各党は、ここぞとばかりに原発再稼働を求めています。原発頼みで再生可能エネルギーと省エネルギーの推進を怠り、電力不足を招いた自公政権の責任は重大です。


写真

(写真)東京電力の中央給電指令所。発電所の発電量の調整などにより、電力系統の安定をはかっています=2015年3月

 岸田文雄首相は会見で、原発再稼働の審査を迅速化し「最大限原子力を活用していく」と発言(6月28日)。日本維新の会の馬場伸幸共同代表は広島市内での街頭演説で「節電などでこの夏を乗り切れるはずがない」「12基の原発を今すぐ動かすべきだ」とまで述べています。(同30日)

 今なお甚大な被害をもたらしている東京電力福島第1原発の事故がなかったかのような無責任さです。

 東電管内では6月末の4日間、「電力需給逼迫注意報」が出され、節電が呼びかけられました。

再エネ後回し

グラフ

 根本的な背景には、原発と石炭火力を「主力電源」と位置付け、再エネを後回しにしてきた問題があります。

 2020年の日本の総発電量に占める再エネの割合は22%にすぎませんが、ドイツでは48%、イギリスは43%、アメリカのカリフォルニア州は53%(19年)にのぼります。また、過去10年間の総発電量に占める太陽光と風力の割合も、日本は低いレベルで推移しています(グラフ参照)。さらに、30年に向けた目標も、日本の36~38%に対し、ドイツは65%、カリフォルニア州は60%で、日本は世界から大きく立ち遅れています。

 ところが岸田首相は、6月21日の党首討論でも「安定して安価なエネルギーを確保しなければいけない」などと述べ原発を主力電源とする姿勢を示しました。

 そのため、再エネ発電量が過剰になると、太陽光や風力で発電された電力を送電網への接続から外す出力制御が行われています。18~21年では九州電力管内だけで250回も実施。今年に入り四国電力、東北電力、中国電力、北海道電力管内でも行われました。

 しかも、太陽光と風力発電の導入コストは原発よりも安価となっており、コストを理由にした再エネ軽視の主張は成り立ちません。

 さらに、世界的な資源価格高騰とアベノミクスによる円安で電力価格が上昇するなか、再エネ導入の遅れは家計を圧迫しています。

 100%国産の再エネの大規模な普及こそ、エネルギー安定供給の切り札です。

産業で不可欠

 日本も参加する再エネの国際機関「IRENA」(アイリーナ)が3年前に発表した報告「新たな世界」は、「化石燃料輸入国は、石油・ガス輸出国で発生しうる政情不安やテロ攻撃、武力衝突によるエネルギー供給停止や、価格変動といったリスクに対し脆弱(ぜいじゃく)だ」と警告していました。

 ロシアによるウクライナ侵略は、化石燃料に依存する国の弱点を浮き彫りにしています。

 国内の電力消費量の約70%を産業部門と業務部門が占めます。一方、家庭部門は約30%(「エネルギー白書2022」)。電力需給の厳しい局面では、節電や電力の大口需要者への需要調整、蓄電システムでの対応とともに、産業部門の大幅な省エネや建物の断熱化、電力利用の効率化が不可欠です。


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