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2022年6月29日(水)

主張

住まいの貧困打開

家賃補助制度の恒久化を急げ

 コロナの影響で職を失ったり、収入が減ったりした人の苦境が続いています。物価高騰も追い打ちをかけています。暮らしに困難を抱えている人を支える上で欠かせないのは、臨時の特別給付金などとともに、住まいへの支援です。コロナ禍で収入が途絶え家賃を支払えなくなり、住まいの確保に苦しむケースは少なくありません。「住まいの貧困」を打開することは政治の大きな責任です。参院選でも問われる重要課題です。

コロナ禍で矛盾が顕在化

 コロナ禍で住居確保給付金の申請が激増しました。相談件数は2019年度の4270件に対し、20年度は15万3007件と36倍になりました。支給額は約306億円で19年度の53倍です。

 同給付金は、失職し家賃が払えない人などを対象に自治体が一定額を上限に家賃額を支給する仕組みです。08年のリーマン・ショックの際、原型となる制度がつくられ、その後、国民の運動で改善・拡充させてきたものです。

 一方、所得制限が厳しく、シングルマザーから「児童扶養手当などを合わせると対象から外れる」と改善を求める声が上がっています。支給期間は特例で延長可能としていますが、原則3カ月です。

 コロナ禍でも拡充策はとられたものの一時的な措置のため、住居確保給付金をベースにした「恒久的な家賃補助制度」の実現を要求する意見が強まっています。

 厚生労働省の「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会」は4月、コロナ禍での住居確保給付金の利用急増を挙げ、「安定した住まいの確保に一定の役割を果たした」と評価する文書をまとめました。「住まいを喪失するおそれのある人の多さ(裾野の広さ)が顕在化した以上、住宅手当といった家賃補助的な施策も含め、普遍的な社会保障施策として検討する必要がある」と明記しました。

 日本共産党の宮本徹議員は5月の衆院厚労委員会で、住居確保給付金のコロナ特例の恒久化、家賃補助制度へ発展させることを提案しました。後藤茂之厚労相は「検討したい」と答えました。家賃補助制度恒久化の決断は急務です。

 そもそも政府の住宅困窮者対策は貧弱です。月に最大4万円を貸主に補助して家賃を低廉化する「住宅セーフティネット制度」が17年に始まりました。貸家を低所得者や高齢者に安く提供してもらうことが趣旨ですが、ほとんど普及していません。21年度の実績は全国で298戸です。この仕組み頼みでは、支援を求めている人に必要な住宅が行き渡りません。

公的責任を果たす政治に

 「住まいの貧困」をまん延させた大本にあるのは、国民に「自己責任」を求める政府の住宅政策です。2000年以降、「民間活力」「市場重視」の名で民間・大企業への依存が強められ、国・自治体が住宅の直接供給から撤退するなど公共の役割を縮小させました。

 公営住宅の増設は足踏みし、入居対象者も厳しく限定されています。公的責任を後退させる新自由主義的な住宅政策のもとで「住まいは人権」という考え方は掘り崩されています。

 生活困窮者への住宅支援策に緊急に取り組むことと合わせ、矛盾を拡大させた住宅政策を抜本的に切り替えることが不可欠です。


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