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2022年6月29日(水)

きょうの潮流

 アジサイは6月が最盛期。早すぎる梅雨明けでシーズンの終盤も早まりそうですが、その目の覚めるような鮮やかさには慰められます。路地のあちこちに咲く青や紫、ピンク、白のみずみずしい花房を見ると、ひととき爽やかな気持ちに▼アジサイを詠んだ俳句や短歌も数多く、中でも〈紫陽花(あじさい)や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴(すいは)〉〈紫陽花のその水いろのかなしみの滴るゆふべ蜩(かなかな)のなく 若山牧水〉などは、口ずさめば雨にぬれたアジサイの繊細な風情が立ち上ってきます▼アジサイの調査研究や普及活動をしている日本アジサイ協会(1998年発足)という団体があると知り、創設者で名誉会長の杉本誉晃(たかあき)さんに話を聞きました▼アジサイは日本が原産だそうで、杉本さんは原種であるガクアジサイを日本固有の財産として保護・保全するために、自生地の伊豆や伊豆諸島、三浦半島、房総を訪ね歩いたと言います▼実はアジサイは不遇の時代が長く、戦後、観光資源として群植されたことで人気が出たとか。「日本人は桜のようにぱっと咲いて、ぱっと散るのが好みで、さまざまに色を変えながら咲き続けるアジサイには引かれなかったのかもしれません」。近年は各地にあるアジサイ寺やアジサイ山、アジサイロードが花見客でにぎわいます▼本紙文化面「今月の俳句」にこんな句も。〈ばらばらのひとまとまりが紫陽花よ 鈴木光影〉。互いに個性を尊重し、影響し合い変化しながら共生する―そんな理想をアジサイに重ねてみたくなりました。


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