しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年6月26日(日)

主張

締約国会議の閉幕

「核なき世界」へ希望を示した

 ウィーンで開かれていた核兵器禁止条約の第1回締約国会議(21~23日)は、「核兵器のない世界への私たちの約束」と題する「ウィーン宣言」と「ウィーン行動計画」を採択し閉幕しました。初の締約国会議は「核兵器のない世界」に向けて希望ある力強いメッセージを発するものとなりました。

楽観主義と決意をもって

 ウクライナ侵略を続けるロシアが、核兵器使用の威嚇を繰り返し、他の核保有国も核戦力の維持・強化をはかる危険な情勢のもとで会議は開催されました。しかし、禁止条約の批准国は65へと増加しており、会議の議論は確信に満ちた、明るいものとなりました。ウィーン宣言が「私たちは楽観主義と決意をもって前進する」と述べたのは、条約への支持の広がりを踏まえたものです。

 会議では、核抑止論がもはや成り立たず、核兵器の脅威を根絶するには、全面廃絶以外にないことが次々表明されました。禁止条約は、核兵器の使用とともにその威嚇も禁じています。ロシアの暴挙への態度では“温度差”のある国々が「明示的であろうと暗示的であろうと、またいかなる状況下であろうと、あらゆる核の威嚇を明確に非難する」(宣言)との点で一致結束できたことは重要です。

 「一部の非核兵器国が核抑止力を擁護し、核兵器の継続的な保有を奨励し続けていることに懸念を抱いている」とした宣言の指摘は、アメリカの「核の傘」に依存し続ける日本政府などへの厳しい批判です。

 核兵器の非人道性を改めて議論の中心に据えたことが、会議の大きな特徴です。被爆者や核実験被害者が、悲惨な体験を証言し、重要な役割を果たしました。締約国会議前日には、オーストリア政府主催で、核兵器の非人道性についての国際会議も行われました。禁止条約を生みだしたこの議論こそが、今後の前進をはかる上でも必要です。被害者援助と環境回復(第6条)、そのための国際的協力(第7条)など条約履行の具体化も始まりました。

 アメリカをはじめ核大国はこれまで、NPT(核不拡散条約)と矛盾するなどと言って、禁止条約を攻撃してきました。しかし、会議では、禁止条約が核軍備の縮小撤廃に向けた交渉を義務づけたNPT第6条の実践を促すものであり、二つの条約が補完し合うことが強調され、確認もされました。この流れを、8月に開かれるNPT再検討会議の前進に結びつけていくことが求められます。

 ドイツなど北大西洋条約機構(NATO)参加国もオブザーバーとして出席しました。立場は違っても、対話を重視する姿勢が共感を呼びました。オブザーバーのスイスは「被害者支援は、条約の加盟、非加盟を問わず取り組むべきだ」と発言しました。

日本政府は条約に参加を

 唯一の戦争被爆国である日本がオブザーバー参加すらしなかったことは、世界の流れに逆行する恥ずべき態度であり、大きな失望と批判を集めたのは当然です。

 国内の世論調査で国民多数は核兵器禁止条約への参加を支持しています。参院選で、核抑止論に固執し禁止条約に背を向ける岸田文雄政権にノーの審判を下し、禁止条約に参加する政治へ切り替えることが不可欠です。


pageup