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2022年6月22日(水)

日本記者クラブ党首討論

志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は21日、日本記者クラブ主催の党首討論に出席し、各党党首と討論し、記者の質問に答えました。志位委員長の発言を紹介します。


写真

(写真)日本記者クラブの党首討論で発言する志位和夫委員長=21日、東京都千代田区

参院選で何を訴えるか

「戦争をさせない、暮らしに希望を」を大いに訴えていきたい

 冒頭、各党首に選挙で一番訴えたいことは何かと問われ、志位氏はフリップを掲げて次のように訴えました。

 志位 「戦争させない。暮らしに希望を」を訴えて、たたかいます。

 軍事一辺倒では平和が守れません。戦争を起こさないために、9条を生かした外交で、東アジアに平和をつくります。

 物価高騰から暮らしを守るカギは、実体経済をよくすることです。消費税を5%に減税し、中小企業支援と一体に、最低賃金を1500円に引き上げます。年金削減ストップ、教育無償化に踏み出します。

 どうか、日本共産党を伸ばしてください。

岸田首相に問う(1)

アベノミクスで大企業がため込んだ内部留保に課税して賃上げの促進を

 続いて討論に入りました。討論の前半は、各党首が相互に質問をぶつけあうクロストークでした。

 志位氏は最初の質問で、岸田文雄首相に次のように質問しました。

 志位 岸田さんにうかがいます。

 日本共産党はアベノミクスで膨れ上がった大企業の内部留保に、毎年2%、5年間で10兆円の時限的課税を行うことで賃上げを促進することを提案しております。

 どうやって賃上げにつなげるのか。

 一つは、賃金の底上げです。10兆円の税収は、最低賃金を1500円に引き上げるための中小企業支援にあてます。

 もう一つは、賃上げへの誘導です。賃上げとグリーン投資を行った分は課税を控除して、賃上げと脱炭素を推進します。

 内部留保というのは人間の体に例えますと脂肪のようなものです。脂肪は大切なエネルギー源ですが、たまりすぎると代謝が悪くなってさまざまな生活習慣病を起こします。

 私たちの提案は、人間の体でいう脂肪を適度に燃やして、そのエネルギーで経済の好循環を実現するというものです。

 賃上げ効果、間違いなしです。ぜひ採用していただきたい。いかがでしょうか。

 これに対し岸田首相は、「内部留保課税には税法上の二重課税の問題」がある、「ぺナルティーを与えるという発想ではなく、前向きにさまざまな投資、人への投資も含めてしっかりと促進する政策をつくることが大事」などと主張しました。

 志位氏は、次のように批判しました。

 志位 まず、私たちの提案は、(大企業への)行き過ぎた減税の一部を返してもらうというものですから、「二重課税」に当たりません。「二重課税」というんだったら、所得税・住民税を払った上に消費税を取っているわけですから、これが最悪の「二重課税」になります。

 「ペナルティー」うんぬんの話なんですが、いま企業は内部留保がたまって困っているわけですよ。ですからそれを政治の力で絞ってやって、そして生きた経済に回そうと。これは経済も元気になりますし、企業にとってもプラスになるんです。そして暮らしもよくなる。八方よくなる。こういう方針ですから真剣に受けとめていただきたいと思います。

岸田首相に問う(2)

軍事費が「GDP比2%」なら消費税2%の増税か、社会保障の大幅削減に――財源を隠すのは、あまりに不誠実ではないか

 志位氏の2度目の質問も、岸田首相に対するものでした。

 志位 岸田さんにうかがいます。

 自民党は「GDP(国内総生産)比2%以上を念頭に防衛費を増額する」と公約しています。「GDP比2%以上」と言いますと、5兆円以上の増額になります。

 それではその財源はどうするのか。公約には一切、書かれていません。

 ある女性週刊誌は、5兆円を増税で賄えば消費税を2%以上、上げる必要がある。医療費負担にしわ寄せすれば自己負担が3割から6割になる。年金にしわ寄せをすれば年金が年12万円減るとの試算を出しています。

 そこで聞きます。国民の理解を得られそうもない財源案は隠しておいて、選挙が終わったらフリーハンドで決めるというのはあまりにも不誠実ではないでしょうか。

 日本共産党は、消費税減税、学費半減などすべての政策を財源とセットで公約しております。

 政策と財源はセットで公約する――これが責任ある民主政治の基本だと考えますがいかがでしょうか。

 志位氏の質問に対して、岸田首相は答弁できず、「政府としては、数字ありきということは一度も申し上げておりません」などと言い訳をしました。

 これに対し志位氏は次のように厳しく批判しました。

 志位 政府としては、数字は決めていないんだと、数字ありきじゃないんだとおっしゃいましたけれど、自民党としては「2%」という数字が入った公約をお出しになってるわけですよ。

 ですからその財源をセットで出さなかったら、これ民主政治とは言えないじゃないかという質問をしたわけですが、お答えがありません。

 私は、これは結局、こういうやり方では、国民に「白紙委任状」を求めるということになる。増税か社会保障削減か、「白紙委任状」を求めることになる。私は、「軍事費2倍」というのは「軍事対軍事」の悪循環をもたらす、そういう危険性という点でも、暮らしを押しつぶすという危険性という点でも、絶対に認めるわけにいきません。

記者からの質問に答えて

自衛隊と憲法の矛盾解決には一定のプロセスが必要――いま大事なのは海外派兵を許さないこと

 続いて記者からの質問に移り、志位氏は「自衛隊違憲論の旗をおろさないと。しかし自衛隊は有効に活用しなければいけない。違憲論とこういう活用とは、明らかに二者択一ですよ。いかがですか」と問われ、次のように答えました。

 志位 この方針は、党の大会で決めた方針です。

 日本共産党は自衛隊と憲法9条は、矛盾していると考えています。ただ、この矛盾は一挙には解決できない。憲法9条の完全実施に向けて、国民の合意で自衛隊の現状を一歩一歩変えていく、このプロセスが必要だと考えています。

 ですから、私どもが参画した政権が仮にできたとしても、国民の合意なしに、自衛隊をすぐになくすことはしないし、できないと(いうことになります)。

 そうなりますと、民主的政権と自衛隊が一定の期間、共存することになります。共存する期間は、政権の憲法解釈としては当然、自衛隊は合憲という立場になります。その合憲と判断する政権が、自衛隊を活用しても何の矛盾もない。

 私は、自衛隊員のみなさんとの関係で言えば、まさにいま問われているのは、自衛隊を海外での戦争に動員していいのかという問題であって、私たちは自衛隊員の命をしっかり守ると(いう立場です)。国民の命も守るし、9条も守るというのが日本共産党の責任ある方針だと言いたいと思います。

ロシアの侵略をやめさせるために「国連憲章守れ」の一点で全世界が団結することが一番の力

 次いで志位氏は、ロシアのウクライナ侵略をめぐって、「よく『ロシアの侵略は絶対許さない』と。これはやっぱり外交努力で解決しなきゃと。こういう感じですけれど、ロシア相手に外交努力なんか効きますか」と質問されました。

 志位 ロシアのウクライナ侵略をどうやって止めるかと考えた場合、私は、「ロシアは侵略をやめろ」「国連憲章を守れ」と、この一点で全世界が団結することが最も力になると思うんですよ。

 私が、その点で危惧しておりますのは、例えばバイデン米大統領が「民主主義対専制主義のたたかい」と、こういうスローガンを打ち出しますよね。こうしますと、世界が分断されてしまう。いま問われているのは、あれこれの「価値観」ではないんです。国連憲章を守るか守らないか、この一点が問われている。ところがそうやって分断をつくってしまう。こういうやり方は、よくないと思うんです。

 いかにして侵略を止めるかという点で、例えば国連総会では141の国が賛成して国連憲章違反だという非難の決議をあげました。あれをもっと広げていく努力が必要だと(思います)。

 ところが逆にそうやって分断をつくっていることが、私はいまの戦争の困難をつくっていると思います。

 この前、シンガポールのリー・シェンロン首相が日本にみえて、「民主主義対専制主義という分断を持ち込むと、終わらない戦争にみずからを置くことになる」(とのべた)。まさにその通りだと思うんですね。その点が大事だと思います。

エネルギー――CO2 60%削減への「戦略」を提言 原発即時ゼロ・石炭火力撤退の決断を

 エネルギー問題をめぐって、志位氏は「『原発即時ゼロ』『脱原発』と言っていますが、再生エネルギーに依存しすぎているのではないか。これでエネルギー危機、将来のゼロエミッション本当に実現できるのか」と聞かれ、次のように答えました。

 志位 日本共産党は「気候危機打開のための2030戦略」を発表しております。

 かなり具体的な試算をやっておりますけれども、2030年までにCO2(二酸化炭素)を最大60%削減する。そして、大規模な省エネルギーによってエネルギー消費を40%カットする。電力の50%を再生可能エネルギーで賄う。そのための基盤整備、条件整備、こうやってやっていくと具体的な提案をしております。この道を進むのが唯一合理的だと思っております。

 原発について言いますと、この機に乗じて「再稼働を行け行け」というのは絶対に反対です。福島のことを忘れたのかと。今もたくさんの方々が故郷に帰れないで苦しんでいらっしゃる。事故は終わっていません。汚染水も増え続けている。こういう状況のもとで原発を動かすというのは、全く論外だと。

 原発ゼロの決断をやってこそ、再生可能エネルギーも本腰が入ると思うんですよ。原発をだらだらと動かすと、結局、再エネの本格普及にも力が入らない。原発は即時ゼロの決断が必要です。それから石炭火力は撤退の決断が必要です。

野党共闘は途上、1人区の半分で野党候補が1人に――共闘前進へ日本共産党の躍進を

 最後に、「去年の野党共闘、失敗したという評価もあれば、そうではないと志位さんはそうではないとおっしゃりたいと思いますが、野党共闘がうまくいかなかったことについて志位さんが責任を取るべきではないかという声もあるのかもしれません。どうお考えですか」と問われ、志位氏は次のように答えました。

 志位 野党共闘は、今途上にあると思うんです。去年の総選挙では残念ながら政権交代にはいきませんでした。野党が本気になって政権交代を目指したことで、かなり自民党の攻撃も受けました。そういうジグザグの中で今を迎えていると思うんです。

 私たちは、今度の参議院選挙でも、1人区の大体半分で野党候補1人になっていますから、ぜひ次につなげる成果を勝ち取りたいと思います。

 それから、何といっても共闘を前進させるには、共産党を躍進させることが一番だと考えております。まさにまだプロセスの中にある。

 私たちは、今の日本の政治を変えるには、共闘しかない。ですからこの道はぶれずに進みたいと思っております。


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