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2022年6月17日(金)

きょうの潮流

 一昨日閉会した国会で成立した悪法の一つに「国際卓越研究大学法」があります。10兆円の公的資金を「大学ファンド」として株式などで運用した利益で、「卓越」した研究をする大学を支援するというものです▼支援を受ける「卓越研究大学」になれるのはわずか数校だけです。認定を受けようとして、大学の運営や研究内容を政府や財界の思惑に沿ったものにさせられる恐れも。大学の自治や学問の自由が脅かされます▼強権的な政治のもと、学問の自由が侵される事態は現に起きています。昨年、政府は「従軍慰安婦」の「従軍」という言葉や朝鮮人の「強制連行」という言葉を不適切と閣議決定をしました。文部科学省は高校の教科書検定でこれらの用語を書き換えさせました▼教科書は本来、学問・研究の到達点にもとづいて書かれるべきものです。専門家が書いた用語を政府が「不適切」と決めて削除させる。史実ではないことを「歴史」として教えた戦前の国定教科書に通じる道です▼一昨年の日本学術会議をめぐる任命拒否問題。政府はいまだに6人の学者の任命を拒否し続けています。学問の世界に国家権力が介入した重大問題です▼任命拒否された6人が書いた『学問と政治』(岩波新書)で、宇野重規東京大学教授がこう述べています。「『学問って面白い。自分も研究をしてみたい』と思える社会、そういう社会に向けて努力することが結果的に、社会の発展につながる」。学問の自由をないがしろにする社会に発展はありません。


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