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2022年6月15日(水)

米とも中とも同盟せず

ASEAN各国防相 双方の対話要求

アジア安全保障会議

 【ハノイ=面川誠】東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の国防相は10日から12日までシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で、米国と中国のどちらの側にも付かないという姿勢を鮮明にしました。会議にはオースティン米国防長官と中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相も出席。ASEAN各国は米中に粘り強い対話を求めました。


 インドネシアのプラボウォ国防相は、「既存の世界的大国と新興の世界的大国の間で対立が起こっている」と述べ、「インドネシアは自覚的な選択をした。どちらの側にもつかない」と言明。「われわれはいかなる同盟にも加わらない」と強調しました。

 プラボウォ氏はASEANが徹底して対話による問題解決を追求してきたことに触れ、「相互理解と意思疎通に努力すべきだ。われわれは50年間にわたる平和、友好的協力、繁栄を成し遂げたことを誇りに思う」と述べました。

 ベトナムのファン・バン・ザン国防相は、ベトナムは「四つのノー」に基づいて自国の安全保障を実現すると述べました。(1)いかなる軍事同盟にも加わらない(2)対立する国々の一方の側につかない(3)自国領域内に外国軍基地を置かず、自国領域を他国への軍事攻撃に使わせない(4)国際関係において武力による威嚇や武力の行使をしない―というものです。

 ザン氏は軍事力の透明性が重要だと強調。「疑心と誤解は軍拡競争をもたらし、相互信頼を損ない、敵対する危険性を高め、紛争と戦争の引き金になる」と警告しました。

 フィリピンのロレンザーナ国防相は、米中対立のなかに置かれた状況を「綱渡り」に例えました。「われわれは非常に慎重に対応している。東南アジアの紛争やその火種の真っただ中にいることを考えれば、二つの超大国の間で進路を決めることは滑りやすい斜面を歩くようなものだ」。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は、オースティン氏と魏氏が初の対面会談を行ったことについて、「東南アジア諸国は少し安堵(あんど)しただろう」と述べる一方で、「しかし問題は非常に複雑だ。冷戦は半世紀続いた。これ(米中対立)が10年や20年で解決するとは思わない」と指摘しました。

 ウン氏は米中両国も参加して毎年開かれる拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の重要性を強調し、「ASEAN諸国はADMMプラスの場で米中とともに協力を続ける」と粘り強い対話を求めました。9回目となるADMMプラスは今年11月に開かれる予定です。


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