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2022年6月14日(火)

改定刑法に対する山添議員の反対討論(要旨)

参院本会議

 日本共産党の山添拓議員が13日の参院本会議で行った改定刑法に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


 本法案は、SNSなどインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷が社会問題化するなか、侮辱罪の法定刑に1年以下の懲役・禁錮、30万円以下の罰金を追加しようとするものです。

 国連の自由権規約委員会は、表現の自由は人権の促進と保護に不可欠だという認識の上に、刑事責任の追及をなるべく避けるよう求め、刑罰を科す場合も身体の拘束を伴う刑は適切でないとしています。ところが法務省や外務省は、国連がこうした勧告を出すに至った経緯は「つまびらかでない」「法的拘束力はない」などというばかりでした。

 国家公安委員長は、道警の対応を違法とした札幌地裁判決(北海道警やじ排除事件訴訟)を読んでいないとしながら、道警の対応は適切だった、言論の自由を圧迫するものではないとくり返しました。時の首相や政権への異論や批判を封じた事実を直視せず、反省もないままに、侮辱罪について「慎重な運用」「想定されない」と述べても、なんの説得力もありません。

 仮に現行犯逮捕などが起きれば、起訴されなくても自由な言論・表現への重大な脅威となり、回復しがたい萎縮効果が生じます。侮辱罪の法定刑引き上げは、やめるべきです。

 本法案は、現行の懲役刑と禁錮刑を廃止し、新たに拘禁刑を創設します。身体拘束に加えて刑務作業を義務づける懲役刑への一本化であり、かつ、新たに改善更生や再犯防止の指導も義務づけようとするものです。

 国連が被拘禁者処遇の最低基準を示したマンデラ・ルールズは、拘禁刑とは自由の?奪であり、原則としてそれ以上に苦痛を増大させてはならないとしています。改善更生や社会復帰という名で、さまざまに受刑者に強制した時代があったからにほかなりません。

 戦前の日本では、治安維持法や思想犯保護観察法の下で、社会主義者や国民主権を求める運動が弾圧され、拷問や虐待だけでなく、再犯防止、再教育の名で転向を促す思想改造まで行われました。いかなる政府の下でも、特定の思想を強制することがあってはならず、法律上、その懸念を残すべきではありません。

 現場の職員は、カウンセリングの技法も用いながらねばり強く働きかけ、本人の意思に基づく社会復帰へのとりくみを促しています。懲罰で強制すべきではありません。


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