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2022年6月12日(日)

なんだっけ

10兆円の大学ファンドって?

 Q 岸田首相が経済成長のカギと語る大学ファンドって?

 A 10兆円の公的資金を株式などで運用し、その運用益で大学を支援するというものです。政府は運用益のうち年間3千億円を大学の支援に回し、経済成長の起爆剤となる革新的研究につなげるといいます。政府の構想実現には年5~6%の利回りが必要とみられています。

 Q 運用は安全なの?

 A そもそも株式には元本割れの危険があります。そのうえ大学ファンドの運用目標は極めて高く、株式や債券という伝統的資産運用では達成が困難です。政府は、未公開株や先物取引などオルタナティブ(非伝統的)資産と呼ばれるハイリスク・ハイリターンを狙う金融資産の運用比率を増やしていく方針です。世界の金融市場が不安定性を増しているときに、あまりにも危険です。10兆円の原資は税金と国の借金の一種の財政融資資金です。運用失敗のつけは国民が被ることになります。

 Q 研究力は向上する?

 A 日本の研究力低下の最大の原因は「選択と集中」の名で大学向けの交付金や補助金を削り、ごく一部の大学だけ支援してきたことです。3~5年の任期付きの研究ポストが増え、研究者は安心して研究できなくなりました。日本の800超ある大学のうち大学ファンドが支援するのはわずか数校です。支援を受ける大学も年間3%の事業成長が課され、達成状況を政府に厳しくチェックされます。大学自治が破壊され、もうからない研究は縮小・廃止されます。(2022・6・12)

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