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2022年6月11日(土)

防衛省が“新・国産主義”

国内軍需産業に巨額利益へ

本紙が資料入手

 防衛省が国家安全保障戦略の年内改定に向けて、国内軍需産業への発注増につながる政策「新しい国産主義」を立案していることが10日、本紙が入手した資料などから分かりました。国内軍需産業の強化は、自民党や日本経団連が強く求めているもの。岸田文雄政権が軍事費の大幅増を進めるもとで、米国だけでなく国内軍需産業にも巨額の利益を与えようとしていることが浮かび上がってきました。

 本紙が入手したのは防衛省が3月28日に自民党安全保障調査会に配布した資料。これによると防衛省は近年、米国からの輸入が増え国内軍需産業に回る予算が「相対的に減少」していると強調。「防衛生産・技術基盤の維持・強化に重きを置いて、『新しい国産主義』を追求する」としています。

 国産を追求する分野については、▽必要な性能などを国内で満たすことができるもの▽弾薬や艦船といった普段からの運用に不可欠なもの―などの6点です。また日本の技術が他国と同等以上である分野については「重点的に投資」するとしています。

 防衛省は1970年に始めた防衛装備品の「国産化方針」を、2014年に公表した「防衛生産・技術基盤戦略」で大きく変更し国際共同開発を推進してきました。この変更をうけて、15年以降は防衛省本省による中央調達先の1位が米国政府となっています。ただ財務省によると国内調達金額は11年度以降25%増加し、約3兆円に至っています。

 経団連は4月12日に提言を出し、「防衛生産・技術基盤戦略」を改定し、防衛生産を「維持・強化」するよう強く要望しています。

 これらをうけ今月7日に政府が閣議決定した経済財政運営の基本方針「骨太の方針」では、「国内の防衛生産・技術基盤を維持・強化する観点を一層重視する」と明記。自民党も参院選挙公約案で「防衛生産・技術基盤の維持・強化のため、より踏み込んだ取組みを推進します」と掲げています。

 防衛省は本紙の取材に国家安全保障戦略などの改定に向けて、「新しい国産主義」の具体的な内容を検討していると認めました。

 (三浦誠)

図

防衛省が自民党安全保障調査会で示した「新しい国産主義」の内容

(拡大図はこちら)


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