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2022年6月10日(金)

きょうの潮流

 奪われた15年。その時間の重さを改めて思います。「暴力を許さず、女性の人権を重視し、平和都市長崎に真にふさわしい姿となることを望みます」。原告の女性記者は市にもとめました▼長崎市の幹部による性暴力をめぐる訴訟で、田上(たうえ)富久市長が控訴せずに謝罪しました。二次被害をふくめ市の責任を訴えた裁判は、先月30日に長崎地裁が原告勝訴の判決をだしていました▼2007年、取材中に被害にあい、その後も偽りの風評を市に流され、苦しみ抜きました。性犯罪の現場に根強くある「被害者側の落ち度」。長崎市も裁判で原告にも過失があったと主張していましたが、それも断罪されました▼情報や権力を握る側とたたかった原告の女性記者は「働く女性にとって、誇り高く生きられるための一筋の希望になってほしい」と。人としての尊厳を傷つける性暴力は、公権力とメディアとの関係でたびたび起きています。いまだ社会に横たわる性差別の縮図として▼国会では、女性記者たちへのセクハラ疑惑の渦中にいる細田衆院議長の不信任案が自民、公明の反対で否決されました。自民の国対委員長は「国会運営に何ら瑕疵(かし)はなく、まったく不信任に当たらない」と強弁。性暴力を軽んじる姿勢をあらわにしています▼自党の重鎮とされ、しかも三権の長にかかった性加害の疑いを重大とうけとめない人権感覚の欠如。日本のなかでも最も遅れた姿がくっきりと。それを正すことが、あらゆる場から性差別をなくすことにつながります。


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