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2022年6月10日(金)

主張

「桜」前夜祭新疑惑

安倍元首相は国民に説明せよ

 「桜を見る会」前夜祭の費用補填(ほてん)をめぐる新事実が判明し、安倍晋三元首相の説明責任が改めて問われています。都内の高級ホテルで開催された前夜祭にサントリーホールディングス(HD)が大量の酒を無償提供し、それを安倍氏側が出席した有権者らにふるまっていました。違法な寄付や利益供与の疑いが濃厚です。政府・与党の税制改定の際、サントリーに有利となる酒税上の計らいがされたこととの関係にも疑念が持たれています。安倍氏は一連の疑惑について沈黙しています。このまま逃げ続けることは許されません。

サントリーが酒を無償で

 安倍氏とサントリーをめぐる疑惑は本紙日曜版5月29日号がスクープしました。6月5日号、同12日号で連続して追及しています。

 前夜祭は安倍晋三後援会主催で2013~19年に行われ、サントリーは16~19年に酒を無償提供していました。前夜祭費用補填をめぐり政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴(20年12月)された安倍氏の元公設秘書・配川博之氏や秘書らの供述調書、ホテル側の作成資料など刑事確定記録から明らかになりました。

 東京事務所の秘書は、費用補填が有権者への寄付に当たり、公選法違反の恐れがあると認識し、補填額を抑えるために大量の酒を持ち込んだと供述していました。

 検察に記録がある17~19年でみるとビール、ウイスキー、ワイン、焼酎など400本近くが提供されました。各年15万円程度とサントリーも認めました。政治資金規正法は、企業が寄付できるのは政党と政治資金団体に限っています。対象外である安倍氏の後援会への寄付は、違法な企業献金にあたる可能性があります。

 重大なのは無償提供が、酒税見直しが焦点だった税制改定の議論があった時期と重なっていることです。改定ではビールを減税し、発泡酒や「第三のビール」を増税して一本化することが検討されていたため、「第三のビール」の出荷比率の高いサントリーにとって打撃になるといわれていました。

 ところが15年にサントリーHDの新浪剛史社長が安倍首相と会談した後、一本化が先送りされました。一本化に積極的だった自民税制調査会会長が直前に更迭されました。首相官邸の意向とされます。14年に経済財政諮問会議の民間議員に就任した新浪社長は、安倍氏と密接な関係があります。同社は12年12月~20年9月の安倍政権時に自民党の政治資金団体に約3600万円の献金をしています。

 酒の無償提供は、違法献金にとどまらず政治をゆがめた疑惑ではないか―3日の参院予算委員会で日本共産党の山添拓議員は、岸田文雄首相に調査を迫りました。首相は、税制議論は「丁寧な議論の結果だ」と述べ、疑惑を解明する姿勢を示しません。

自民党の責任が問われる

 安倍氏は首相時に「桜」前夜祭について国会で118回も虚偽の答弁をしました。元秘書の略式起訴直後、釈明のため衆参議院運営委員会に出席したものの、関係資料の提出には応じず、説明責任を投げ捨てています。

 安倍氏は自民党最大派閥の会長として影響力を行使し、改憲や大軍拡の旗を振っています。安倍氏の責任を不問にし、増長させている自民党も疑惑隠しは同罪です。


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