2022年6月6日(月)
主張
軍拡大合唱の異常
憲法9条生かす外交こそ必要
ロシアのウクライナ侵略に乗じ、自民、公明の与党をはじめ日本維新の会や国民民主党から、軍事費の大幅増や「敵基地攻撃能力」の保有など、大軍拡を求める憲法破壊の大合唱が起こっています。戦争につながる「軍事対軍事」の悪循環の道に日本を引き込み、暮らしをも押しつぶす危険なたくらみです。平和と暮らしを壊す策動を止めるため、目前に迫った参院選で日本共産党を躍進させることが切実に求められています。
「共産党以外は賛成」
岸田文雄首相は先の日米首脳会談(5月23日)で、中国への軍事的対抗のため「同盟の抑止力および対処力を強化する」とし、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有の検討に言及するとともに、「防衛費の相当な増額」を言明し、大軍拡を約束しました。
同会談への各党の姿勢をめぐっては、フリーアナウンサーの森本毅郎氏がラジオ番組(5月25日放送)で「日本は結構、アメリカ追随の姿勢が目立ちましたね。いきなり防衛費も相当の額を増やしますよと言ってしまったりしていますが、共産党以外はみんな賛成しちゃってるんですよね。いいのかなと思いますよ」と述べ、注目されました。
自民党は提言で、11兆円を超えることになるGDP(国内総生産)比2%以上を念頭に置いた軍事費増や、「(日本への)攻撃を抑止し、対処する」ための「反撃能力」の保有を求めています。同能力の保有については、同党内でも「自衛隊を攻撃型に変え、それをもって抑止力とするのは、憲法では認められず、専守防衛から大きく逸脱する」(岩屋毅元防衛相、「朝日」2020年7月28日付)と指摘されてきました。たがの外れた同党のエスカレートぶりは異常です。
公明党は、日米首脳会談での岸田首相の表明について「与党として重く受け止めなければなりません。何が必要な防衛力なのか検討した上で、必要な予算を積み上げていく」(山口那津男代表、公明新聞6月2日付)と述べています。
日本維新の会は参院選の公約(2日発表)で、「防衛費のGDP比2%への増額」や、「専守防衛」の定義(防衛力の行使や保持は自衛のための必要最小限に限る)の規定の見直し、「核共有」に関する議論の開始、憲法9条への自衛隊明記などを掲げ、自民党と右翼的主張を競い合っています。
国民民主党も公約(5月20日発表)で「自衛のための打撃力(反撃力)」を整備し、「必要な防衛費を増額」するとしています。
しかし、ウクライナ危機から学ぶべき教訓は、軍拡を声高に叫ぶことではないはずです。
軍拡競争の回避を
シンガポールのリー・シェンロン首相は都内の講演(5月26日)で「アジアでは、不運にも紛争が起きた場合にいかによりよく備えるかだけでなく、地域の平和と安定を維持し、そもそもの紛争の危険性を減らすため、トラブルが起こる前に、いかにともに仕事をするかを考えるべきだ」と述べています。その上で「地域の安全保障を個々の国の観点だけから見れば、軍拡競争と不安定な結果をもたらしかねない」と警告しました。
東アジアを戦争の恐れのない平和な地域にしていくため憲法9条を生かした平和外交が今ほど強く求められている時はありません。