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2022年6月1日(水)

きょうの潮流

 やってみなはれ―。そのひと言に込めた開拓の精神。戦前、国産ウイスキーの開発に執念をもやし、初めて世に出した鳥井信治郎の口ぐせでした▼時代をこえ、いまではサントリーグループのDNAになっているという言葉。しかし、まさか法に反することまでやろうとは、創業者も思わなかったでしょう。安倍元首相の後援会が開いたあの「桜を見る会」の前夜祭で、酒類を無償で提供していました▼本紙日曜版の取材班が、東京地検の事件記録を調べて発覚したもの。安倍氏側は会費を上回る費用を補うだけでなく、大量の酒を会場にもちこんで有権者にふるまっていました。しかも秘書の供述によれば、公選法違反の会費補てんを抑えるための隠ぺい工作だったと▼5千円の会費ですべて賄っていたと、国会でうその上塗りをしてきた安倍元首相。そのうえ新たな利益供与の疑いまで。こんな人物が、いまも自民党最大派閥の長に祭り上げられ、改憲や軍拡推進の発信源になっているとは▼サントリーの新浪剛史社長は安倍政権下で経済財政諮問会議の民間議員を務め、個人的にも親しい“アベ友”のひとりです。同社は毎年、自民党の政治資金団体に献金もしています。今回のふるまい酒については「製品を知ってもらう機会と考え、協賛した」と説明しているそうです▼話を戻せば、創業者は寄付や慈善にも熱心で「陰徳あれば陽報あり」を信念としていたとか。陰徳とは人に知られない善行。権力の腐敗は企業の精神も変えてしまいます。


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