2022年5月26日(木)
フェミ科研費裁判 歴史修正主義に迎合の不当判決
支援者「全部棄却信じられぬ」
京都地裁
日本学術振興会科学研究費(科研費)の助成を受け、日本軍「慰安婦」問題やジェンダー/フェミニズム研究・運動の連携について研究したグループへの誹謗(ひぼう)中傷をくり返した自民党の杉田水脈衆院議員に対し、2019年2月、研究グループ4人が杉田氏を名誉毀損(きそん)等で提訴した「国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許さない裁判」(フェミ科研費裁判)の判決が25日、京都地裁でありました。長谷部幸弥裁判長(菊井一夫裁判長代読)は、原告の請求を棄却しました。(党学術・文化委員会事務局 朝岡晶子、関西総局 窪田聡)
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大勢の支援者が傍聴に駆けつけました。わずか10秒程度の判決文読み上げを聞き、「全部棄却なんて信じられない」と落胆の色を隠しませんでした。
杉田氏は、研究グループによる「慰安婦」問題を扱った科研費研究を「ねつ造」であると決めつけてSNSなどで拡散。その研究を「反日」という表現を使って中傷してきました。また、厳正な審査によって交付されている科研費についても「不正」使用をしたかのようなデマを流してきました。
判決後の記者会見で、原告の一人、岡野八代同志社大学教授は「研究内容を『ねつ造』、研究の根幹である研究費を『不正使用』と発言されたにもかかわらず、判決では、社会的評価をおとしめるものではないと判断された。研究者の社会的評価とは一体なんなのか」と不当判決への強い怒りを語りました。
判決は、杉田氏が「慰安婦」の強制連行はなかったという認識を前提に意見を述べたにすぎないとしました。
支援者集会で原告の牟田和恵大阪大学名誉教授は「歴史修正主義に基づく判決で衝撃を受けた」と怒りをあらわにしました。
牟田氏は「不当判決をこのまま認めるわけにはいかない」として、控訴については弁護団と話し合って決定すると語りました。